閑話 残される人達1

徹彦が電車にかれる少し前…

駅のホームに疲れた様子の女性がいた

彼女はあるVtuber事務所のマネージャー

徹彦も彼女が担当しているVtuberの一人である


「はぁ今日も色々大変だったぁ

あれ?あそこにいるの瀧平さん?」

なんか落ち込んでる様子だけど…


そういえば今日って

瀧平さんが楽しみにしてたゲームの発売日だっけ


あの様子だと買えなかったのかな


いたっ

「あ~ごめんなさい」

走ってる人にぶつかった

走る勢いを落とさず謝っていった

何をそんな急いでるんだろう

危ないなぁ


あっ

「瀧平さん!!」


走って行ったその男が瀧平さんにぶつかった

瀧平さんが線路に向かって落ちていく

ちょうど電車が通過するところだった


急いで緊急停止ボタンを押そうとした

でも、間に合わなかった

緊急ボタンを押したとき時、音がした

電車と人がぶつかる鈍い音


振り返るとそこに瀧平さんはもういなかった

あったのは血が付いた電車

瀧平さんは遠くに飛ばされていた


慌てる男

騒ぐ野次馬

瀧平さんに駆け寄る駅員

血だらけの瀧平さん


全てが止まって見えた


知っている人が目の前で死んでいく

わかってしまう

瀧平さんはもう助からない

でも、信じられない


事務所で「瀧平さんの担当になるなんてついてないね」と言われたことがあった

でも、私は瀧平さんの担当になれてよかったと思っていた


彼は優しかった

事務所で噂されるような人ではなかった

最初は会話をあまりしてくれなくて困ったけど

最近は雑談もできるようになっていた


そんな瀧平さんにいつの間にか惹かれていた

そんな彼が目の前で死んでしまう


色々なことを考えてしまい

私の意識もだんだん遠くなっていった




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る