第31話 エミラの最終試験

「デクス君ちょっといい?」

剣術の特訓時間の後廊下で

双剣使いの冒険者でエミラの師匠である

ミルダさんに声をかけられた


「はいなんですか?」

「エミラのことなんだけどねそろそろ最終試験してもいいかなって思ってさ

その最終試験の相手してもらえないかなって」

「結構早かったですねあと二ヶ月ほど期間はあったはずですが」

期間とはミルダさんが数回特訓した後

どれくらいで終わるか概算して決めた修了予定期間だ


「そうなんだよね私もびっくりしてる

で、どう?武器種は何でもいいよ」

「じゃあ自分の特訓がてらやらせていただきます」

まだ特訓中で対人で使ってみたかった武器がある

「じゃあ今日の午後からやるから」



「あれっ?なんでデクスくんがいるんですか?」

「えっと、予定より早いけど最終試験をします

内容は模擬戦で相手はデクス君だよ」

「えっデクスくんと模擬戦ですか?」

「勝敗は関係なく戦い方をみるからね」


「そうだエミラ、この前言ってたプレゼント

僕に勝てたら今日あげるよ」

「えっほんとですか?」

「うん だから全力できて」

「はい わかりました」


エミラは片手剣より少し短く短剣より少し長い剣を二本構えた

対する僕は刀を取り出す

これは形だけ作って刃を研いでないものだが

重さと長さは前に作ったものと同じにしてある


「いきます」

エミラが左手の剣で僕の右側に攻撃を仕掛けてきた

僕はそれをそれをはじいたが

今度は左側から横薙ぎが来たので後ろに下がる


着地してすぐ前に姿勢を低くし縮地のように近づき

左下からの逆袈裟ぎゃくけさ

それをエミラは横に軽く跳び回避し、後ろに回り込まれてしまった

同時にエミラは左の剣を逆手に持ち替えた

僕は刀に振り回されてしまいそのまま後ろから逆手で突かれた


「そこまで! エミラの勝ち合格だよ」


「まだ使えないなぁこれ もっと練習しないと」


「えっ勝った?」

「うん じゃあ、あれ渡すね ちょっと待って」

あれは今、数日前に習得した[アイテムボックス]の魔法に収納してある

出入り口となる異次元ボックスみたいなのと

内部の空間をイメージしないといけないから

ちょっと難しかった


「はいこれ」

「双剣ですか?」

「そう 魔法剣なんだって

王城の宝物庫から持ってきたんだ」

「ありがとうございます」


「ちょっと使ってみてよ」

軽く振ってみているが何も起こらない

「えっと、どうすればいいんですか?」

「えっと~ルネ師匠呼んでこようか」

チラッとミルダさんを見たが知らなそうだった

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