第7話 遅れた説明

「あなたが死んだ時からだいたい40年程前、

地球神は暇つぶしとして人々の運命を操り始めました」

「運命を操るですか 本当に神はそういったことができるんですね」

「えぇ、一応私にも可能です

しかしその力をむやみやたらに使うことはタブーとされています」


「でも、明確に罰する規則などがないということですか」

「そうです 普通は周りの神が止めるのです

地球神にも何人もの神が止めに入ったのですが

皆返り討ちにあってしまいました」


「地球神はそんなに強いのですか?」

「えぇ、現在の地球神は3代目で大体10億年前ほどに代替わりしたと聞いています

地球神に就任すると寿命も延び長く生きた神ほど強くなっていきます

現在 地球神以外の神の最高齢は地球の時間で約5億歳なので敵う筈がありません

寿命としては一般の神は大体6億年くらいですが多くの神がその前に自殺します」


「ちなみにあなたは?」

「そんなに生きてないですよ大体16万歳程でしょうか」

「それでそれほどではないというのは人間からすると不思議な感じがしますね」

「人間的にはそうでしょうね

では、本題に戻りますね

そうしてだれも止められなくなり現在もその悪行は継続しているのです」

「“私”もその一人ということですね」

「えぇ、あなたのいじられ方はかなりひどかったです

ですがそれをあなたは乗り越えていたんです」


「乗り越えていた?どういうことですか?」

「あなたはいじめや虐待などで人間不信になり

仕事に就くことができないような運命にさせられていました

しかしあなたはVtuberという配信活動という仕事で成功し

ファンに好かれ好きなゲームをたくさんできてある種の幸せを得ていた

地球神的には面白くないでしょう」


「あっもしかしてあの死んだ日って」

「概ねあなたが考えてる通りでしょう

つまらないおもちゃ、自分の思い通りに動かないおもちゃを捨てる

そういった感覚であなたの不幸値を死ぬレベルに設定したのです

最後にもう少し楽しませてもらおうと死に方を設定しなかったのでしょうね」


「なるほどあの日ゲームを買えなかったのもその不幸値のせいか」

「多分そうでしょうがそこなんですね」

「あれは一番の未練です」


「そっ そうですか

続けますね あなたのような被害者は増えるばかりなんです

そこでその被害者たちに何か償いをしたいと思った神たちは

“地球神被害者賠償課”を作ったんです」


「賠償って具体的にどういったものなんですか?」

「異世界へ記憶を持ったままでの転生です

しかし“異世界”といってもいろんな世界が用意されています

あなたが転生した異世界ファンタジーの世界のほかに

ラブコメ風の世界、

現代ファンタジー的な世界、

SF風の世界など様々です」


「もしかしてあの時の必要な情報って」

「はい、どの世界にどういうシチュエーションで暮らすのを望んでいるかの確認でした

どうですか?望みどおりに生きれてますか?」

「現状は楽しいですがまだ望み通りかはわかりませんね」

「まだ1年ですからね 世界は望みどうりでしょう」

「そうですね 情報収集したところすごく楽しそうな世界だと思いました」


「そうですかよかったです

あっ、そろそろあなたを呼んだ本当の理由について説明しないとですね」

「えっ、本当の理由ですか?」

「あなたを呼んだのはあなたにある“お願い”をするためなんです」

「そのお願いってなんですか?」

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