第8話 神様からのお願い

「地球の時間で数年前にアナザーユートピアに転生させた魔王を倒してほしいのです

転生前の名は紫霊しれい 颯馬そうま

現在の名はレトリアル・ヴィネ・ルマデウスといいます

彼は地球神の運命操作暇つぶしに耐えることができませんでした

その結果、彼の心に魔王願望が生まれました」


「魔王願望?」

「魔王となり暴れ最後には“英雄”に倒されたいといった感じのことを望んでいたのです

彼はその魔王願望を残したまま19歳で自殺しました

そしてここに来たのです」


「望みどおり魔王に転生させたのですか?」

「はい、その時の担当の神は『面白そうだったから』と言っていました

そして彼は魔王となりました

彼の望みは“英雄”に倒される事までだったので担当の神はこの世界の住人に

英雄となれるような〔スキル〕を与えました

ですが転生者に与えられる〔スキル〕には〔ユニークスキル〕もあります

〔ユニークスキル〕はその者の望みに合ったものを与えることができます

魔王レトリアルには〔魔王の腕まおうのかいな〕という強い〔スキル〕が与えられました

ですので初代英雄は敗れ、2代目も大したダメージを与えることはできませんでした

レトリアルは英雄がいない世界なんて壊してやるとこの世界を壊し始めました

そして神は3代目となる英雄に封印に特化した〔スキル〕を与え封印してもらうことにしました

作戦は成功しましたしかしその封印はもう十数年で効果が薄くなり破られるでしょう」

「つまり僕に“英雄”となりその魔王を倒せということですか」

「はい、あなたには英雄願望がありますよね」


「まぁ、確かにあこがれはしましたけど...」

二刀流の黒いやつとか

盾だけしか使えないやつとか

白髪の兎っぽいやつとか

ロボットが大好きなやつとか

世界の平均値の娘とか


「ですのであなたが適任と思い早めに送ろうと急いだんです」

「じゃあ普段ならもっとしっかり説明して送るって感じだったんですか?」

「そうですね あなたならあのくらいの説明でなんとかなると思ったので」


「まぁ調べたりでなんとかなりましたけど

あっ調べるで思い出しましたがなぜあの世界の言語が日本語なのですか?」

「それは簡単です あなた方のためだけに作られた世界だからです

日本語になるようにいろいろ進化を誘導しました」

「そんなこともできるんですね」


「進化の誘導って本当はグレーなんですけどね

それでどうしますか

英雄になっていただけますか?

なってくれるなら相応のステータスに設定します」

「異世界チートできるんですか?」

「できます」

「やります」

異世界チートはしたかったしちょうどいい

いや向こうからしてもちょうどよかったのか


「〔スキル〕などの希望とかありますか?」

「魔法適正は超希少属性含め全属性高めでほしいくらいですかね

あとはお任せします」

「わかりました ではそろそろ戻しますね

いつでもここに来れる〔スキル〕も入れておくので

聞きたいことがあったら来てください」

「わかりました」



そしてまた視界が白く染まる




「では、これで今年の初礼拝の儀を終わります」

あれ?終わってる

僕の番どうなったんだろう

「どうしたデクス 帰るぞ」

「あっはい 父上、僕しっかりできていたでしょうか?」

「少し上の空のような気がしたが大丈夫な気がするぞ?なんでそんなことを聞くんだ?」

「いえ、少し周りから見たらどうだったか気になっただけです」


「そうか じゃあ帰ろう 帰ったら自分の部屋でまずステータスを確認してみなさい」

「わかりました」

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