12話:決闘
シーヴァからすれば巨躯とも言えるヴィブルから、躊躇のないストレートが振り抜かれる。シーヴァそれをしゃがんで回避すると、タクティカルバトンを横振りにしヴィブルの足を狙う。それに気づくとヴィブルはその場で跳躍し、シーヴァの攻撃を避けるとそのまま地面に向かって拳を振り下ろした。その拳の先にはシーヴァがおり、その瞳は既にヴィブルの拳を捉えていた。
シーヴァは反射的にタクティカルバトンを頭上に掲げ、ヴィブルの拳を受け止めるがその威力は凄まじく、タクティカルバトンを支える華奢な腕が軋むのを感じた。その痛みに耐え切れずシーヴァは小さな悲鳴を漏らす。ヴィブルはシーヴァの怯んだ様子を見逃すことはなかった。着地と同時に地面を蹴り、シーヴァに強力な蹴りを喰らわす。
タクティカルバトンから伝わってくるヴィブルの拳の威力に気を取られていたこともあり、シーヴァはヴィヴルの蹴りに対応出来ずそのまま吹き飛ばされる。飛んでくるシーヴァを見て野次馬たちが我先に逃げる。しかしそんな野次馬の中、ただ一人逃げず飛んでくるシーヴァを受け止める少女の姿があった。ルーシャルの乙女の一人、彼女は正義に服従するものミカルナである。
*
同時刻、もう一人の盗賊ラプームとルシャールの乙女リナーシャによる戦闘が、路地裏で繰り広げられていた。否、戦闘というのはあまりにも一方的過ぎる光景であった。
「ふむ、やはりそのサイズの大鎌は路地裏では振り切れませな」
リナーシャが声のした方へ突きを入れる。しかし手ごたえはない。
「刃を振れぬ以上、私に致命を与えることもできない。退いては如何です?」
背後から聞こえたラプームの声に対して再度、突きを入れる。しかし案の定手ごたえはない。
「ですから無駄だと言っているでしょう。お得意の武器も真面に振れず、加えて視界を奪われているのですよ?どう考えて貴女が不利です」
ラプームの声が頭上から響く。そこでリナーシャはサイスを横に斜めに構え口を開く。
「うるっせぇな。第一今回の私たちのターゲットはお前なんだよ。そのためにこんな辺鄙な街に集められたしな」
「……ほう?私がターゲット。それは面白い。遂に聖神官に危険視されるまでになりましたか」
リナーシャは聖神官じゃないけどな、と呟いてからサイスを正面に全身を使って投げる。サイスはブーメランの要領で飛んでいき、再びリナーシャの手元に戻って来る。
「20m先まで飛ばしたのに、手ごたえが無いってことはこっちか」
リナーシャはサイスを投げた方とは逆の方を向き武器を構える。
「ふーむ視界が通らない中、音もなく大鎌を投げキャッチまでするとは……貴女面白いですね」
リナーシャは戦慄する。何故ならその声は自分の背後、先ほどサイスを投げて索敵した方から聞こえたからだ。
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