第4話 猟兵《ハンター》登録とステータス確認

猟兵ハンターギルドへようこそ!」

「あの、俺たち猟兵になりたいんですけど」


 受付の明るいお姉さんに訊いた。


「新規のご登録ですね? ではこちらの登録用紙に必要事項を記入して、そちらの石板でステータス確認をお願いします。それが終わったらまた、受付までお持ちくださいね」


 二人で言われたとおりにする。


「ねねっ、シンくん、シンくん! 名前とかどうする?」


 ミコトが指先でトトンと肩を叩いて、俺の用紙を覗き込んでくる。


 身体が、メッチャ密着する。


 ちょっ、距離感近くない? いや、今までこれが当たり前だったけどさ。男同士だし、友だちだし……。


「ええっと、シンイチてのはなんか世界観に馴染まなそうだし、シンにしようかな。シン・スサノ。ミコトは?」

「う~ん。おれはそのまんまミコト・クシナにしようかな。どう思う? 変かな?」

「変ではないと思うよ。いいんじゃない?」

「だよね」


 名前と年齢を書いて、石板に向かった。水晶が嵌まった黒い石板だ。


 受付のお姉さんに言われた通り、石板に用紙をセットして、水晶に手を乗せてみた。すると石板に文字が表示される。


「「おお!」」


 石板の文字が、用紙に転写される。


「これも、魔法かな?」

「魔法道具って奴だと思う。便利なもんだ」

「けど、今さらだけどさ。こっちの言葉や文字も理解できるんだね」

「あぁ、確かに」


 俺の知ってる異世界転生では当たり前だから、ミコトに不思議そうに言われて、俺も今さらながらにそう思った。


 記入が済むと、お互いの用紙を見比べてみた。俺のはこんな感じだ。


***


名 前:シン・スサノ

年 齢:16


レベル:1

H P:150/150

M P:60/60

体 力:300/300

攻撃力:180

防御力:100

状態異常耐性:45


生命力:35

持久力:55

筋 力:60

精神力:40

魔 力:40


■スキル

【パワースタブ】剣技スキル。力溜めによる強烈な突き攻撃。威力によって相手を仰け反らせたり後衛に押し出すことができる。


■魔法

【魔弾(無)】魔法スキル。初級攻撃魔法。魔法の粒子である魔粒子を属性変換せずにそのまま撃ち放つ無属性の攻撃魔法。


***


 次にミコトのはこんな感じ。


***


名 前:ミコト・クシナ

年 齢:15


レベル:1

H P:300/300

M P:100/100

体 力:180/180

攻撃力: 75

防御力: 55

状態異常耐性:95


生命力:105

持久力:35

筋 力:20

精神力:80

魔 力:55


■スキル

【魔力湧出】特殊スキル。MPの自然回復量が常人よりも高く、MP回復後も自然と魔力が湧出する特殊体質。


■魔法

【キュア】魔法スキル。初級回復魔法。裂傷や炎症などを治癒し、HPを回復させる。


***


「回復魔法、いいね! てかHPとMP高くね!? すげぇじゃんか!」

「シンくんも、なんか強そうな技あるよ? 剣技スキルだって。これってやっぱり剣道部だからかな?」

「うん、かもしれない」


 俺は中学から剣道部で、日常的にそれなりに鍛えている。筋力や持久力が高いのはそのためだろうか。


 登録用紙を受付に提出すると、すぐに猟兵カードが発行された。名前などが書かれているが、二人ともランクはまだF。

 新人はもれなくFからはじめるらしい。依頼をこなしたり強い魔物を討伐してそれがギルドに認められるとランクが上がっていくそうだ。


「ミコトさんは【魔力湧出】と言うかなり貴重な体質ですね。これは魔法使いのサポート役としても重宝されるスキルです。筋力やスタミナが弱点ですが、鍛えていけばこちらも上がっていきますよ」


 ミコトの登録用紙に目を通して、受付のお姉さんがそう言った。


「俺はどんな感じですか?」

「シンさんはレベル1でこの強靭さは武器になりますよ。剣技の鍛錬を重ねれば剣士としても前衛で活躍できると思います」

「そうですか」


 良かった。俺tueeeなチートこそなかったものの、それなりに戦えるみたいだな。それなら……。


「今からすぐに受けられるクエストってあったりしますか?」

「依頼は奥の壁のクエストボードに貼ってありますよ。けれど……」


 お姉さんは言葉を止めて、ちらとミコトを見やった。


「お二人とも新人でレベルも低いですし、まずは戦闘訓練を受けられた方が……。特にミコトさんの方は……」


 俺もお姉さんの視線を追うようにミコトを見る。ミコトは余った袖をクルクルと回していた。ズボンの裾もずり落ちてるし靴もパカパカだ。


「ちょっとクエストを受ける格好ではないですね」

「す、すいませんっ//////」


 お姉さんに苦笑されてミコトが顔を赤くする。


「俺一人だけでもどうにかなんないですかね? 恥ずかしいけど、お金がすぐに欲しいんですよ」

「そうですか……。あ! でしたら……」


 お姉さんがボードの前まで案内してくれた。大きなボードにたくさんの依頼文が張りつけてある。中央にあるのは、多分グリンデル王国の地図、かな?


「ええ~っと。ミコトさんは、これなどはどうでしょう?」

「回復薬の作成、ですか?」

「はい。町の外に出てモンスターと戦うだけがハンターの仕事ではありません。スキルなどを活かしてギルドの工房で働く人もいるんですよ」

「なるほど~」


 感心したようにミコトが頷く。


「ミコトさんはヒーラーの素質があるので、回復魔法の力を高めるためにも、回復アイテムを製作をしているギルド内工房で働かれてみては?」

「受けてみよっかな?」

「いいじゃん。魔法を鍛えられるなら一石二鳥かもよ」


 俺もそう言った。


「ええ。それにポーションなどの基本的な作り方も学べますから、これから先に必要な知識や技術も身につけられてお得だと思いますよ」

「じゃあ、一石三鳥だ」


 そう言うと、俺を見てミコトは笑顔になった。そしてお姉さんに案内されて行ってしまった。


 一次、別行動になりそうだ。俺はどうするか……。

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