願い
「本当にもう追い詰められていて。気づいたらここにいたのよ。多分、この夜にあなたが決意をする前に。今この瞬間の里保に会って私という未来を生み出さないで欲しいと強く願って。修二さんを選んでいたらこんな目に合わなかったのにって」
「私も同じ。あの時、修二さんじゃなくて、彰を選んでいればこんな苦労はしなかったのに。決意する前の迷っていた私に戻りたくて。そしたらね、」
ね、と坂崎さんと堀内さんはお互いを見つめ合って。
「お互い、一目見た瞬間にわかったわ。私たち、どっちにしても見る目がなかったな、って」
自虐めいた笑みを浮かべた二人の目は真っ赤だった。
そうか、私は今夜、どちらかを選んだのだろう。
迷いに迷って彰を選んだ私と。
修二さんを選んだ私。
安易に憧れた結婚生活の結末、いや、まだ彼女たちにとってはいつ終わるとも知れない途中。
「ありがとう、会いにきてくれて」
坂崎さんも堀内さんもその意味がわかったのか、ようやく安堵するように表情を緩める。
ありがとう、ごめんなさい。
言葉にしたら彼女たちの涙が伝染してしまったみたいで。
三人で抱きしめあって泣いた。
声をあげて泣いた。
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