第57話
てんくんの部屋に戻ると看護師の碧子さんがいた。
「あっ、さやちゃん。ちょうどてんくん眠ったところよ」
見るとてんくんはもう戻って来ていて、少し疲れた顔をして眠っていた。
「頑張ったんだね、てんくん」
「そうね、いくら賢くても、体は子供なんだもの。今日は頑張ったわ」
碧子さんはそう言って、てんくんを優しく見やった。
「良い話になったの?」
「ええ。淋しいけど、そろそろ転院になりそう」
「そっか…」
あたしは『さやちゃん同盟』の皆んなの見廻りに行くことにする。
もうすぐ転院なら、皆んなが元気で、てんくんが気持ちよく行けると良いな〜
今の『さやちゃん同盟』の皆んなは、症状が軽快している子ばかりで安心だ。
「さやちゃん、てんくんが転院するってホント?」
なみちゃんがそう聞いて来た。
「看護師さんが話してるのを聞いちゃったの」
あ〜大人って子供が色んなこと聞いたり察したりしてるの、知らない人多いよね。
「うん、良い治療ができそうな病院に移る予定みたい」
「ふ〜ん。 じゃあ症状が悪くなったんじゃないんだ」
心配していたのか、なみちゃんは安心したように言った。
「良いことなんだよね! …そうだ!皆んなで壮行会しなくちゃ!」
壮行会なんて良く知ってるな〜 病院で誰かの壮行会があったのかな。
「ママにちょっとお菓子を用意してもらって…」
なみちゃんはちょっと考えて言う。
「それから…色紙に皆んなで絵とか言葉とか書いて贈ることにしよう!」
「わあ、それ良いね」
「さやちゃんも書いてくれるでしょ? てんくん、きっと喜ぶよ」
なみちゃんはしっかりしていて気配りもできる子だからほんとに安心だ。
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