第56話
コンビニから帰ってきたら、お姉さんがお茶にしようと言った。
前から気になっていたコンビニ限定スイーツを買ったんだって。
お姉さんはお兄さんオススメの猿島のウーロン紅茶を淹れてくれた。
「美味しい〜 この紅茶、ケーキと良くあうね」
「うん! 奥の方になんだかさっぱりとした香りがあるせいかしら」
「さて、だいぶ状況が分かってきたわね」
お茶を飲んで一息ついたらお姉さんが言った。
「なあに?」
「建物の範囲から出られないいつもの状況とは違うでしょ?」
「そうだね。タマちゃんのところにも行きたいと思ったら行けるし」
「だからこれはイレギュラーなんだと思う。何があってそうなったのかしら…」
二人でいろいろ考えてみた。
「悠くんのところに行けないのがおかしいのよね〜」
「そうだね…ママはまあ分かるとして…お兄さんのとこは行けそうなのに」
「女限定…もおかしいし」
その時、お姉さんははっとしたようにあたしの帯を見た。
「これかも!」
お姉さんはあたしの方に手を伸ばし、タマちゃんにもらった帯飾りをほどいた。
「え? なあに?」
「さやちゃん、これなしでタマちゃんのとこ、行ってみて」
?? あたしはタマちゃんのところへ行きたいと念じる。
「あれ? 行けない…」
「やっぱり! もらった物を身に着けていたら行けるんだ!」
「そうなの〜? そんなご都合主義な…」
お姉さんはブッと笑った。
「さやちゃんったら、大の大人みたいな話し方するんだから」
あたしはちょっと赤面した。誰かのが移っただけだよ〜
帯飾りをつけてもらいながら考える。
てんくんが転院したら、あたしはついては行けないだろうと思っていた。
きっと又違うところに飛ばされてしまうと思い、ちょっと後ろめたかった。
でも、てんくんがあの絵をプレゼントしてくれたら、きっと逢いに行ける!
あたしはすごく安心した。
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