第48話

てんくんの病室に戻ってくると、通路まで笑い声が聞こえた。

莉奈さんとクイズゲームをして楽しんでいるようだ。


「あら、面白そうね。私たちも参加させてよ」

そう言ってお姉さんは病室に入って行く。

「あっ、七緒ちゃんだ! 久しぶりだね〜」

七緒ちゃんって、、なんでそんな呼び方になっちゃったのか聞いてみた。

莉奈さんを莉奈ちゃんって呼んでるから、その繋がりでということだ。

もっと小さかったてんくんには莉奈姉ちゃんじゃ呼びにくかった。

それで莉奈ちゃんになったらしい。


「もうちょっと大きくなったら、『莉奈姉さま』と呼んでもらうわ」

「えー、それ嫌だ〜」

「莉奈、さまってガラなの〜?」

てんくとお姉さんが呆れている。

あたしはおかしくて笑いが止まらない。

莉奈さんはあたしの方にちらっと視線を動かした。


あたしははたと気づいた。

莉奈さん、あたしが笑えるようなこと、わざと言ったんだ。

優しいひと人だな。 さすがお姉さんの親友だ。

そのあと皆んなでクイズを出し合って楽しんだ。


「てんくん、今日の検査は怖くなかった?」

ゲームがひと段落した頃、莉奈さんが聞いた。

「うん、大丈夫。よその病院から来た脳神経外科の医師せんせいとお話したんだ」

「何か言ってらした?」

「検査結果を持って帰って、医療チームと検討するって」

「…それって…」

「手術のことだよね、莉奈ちゃん」

「う〜ん、よくわからないけど、きっと良い話に決まってるわ」

莉奈さんはてんくんを不安にさせないように気遣っているようだ。

「心配いらないよ、莉奈ちゃん。竹内 医師せんせいできる人らしいから」

「そとの医師せんせいのこと? そう、それだと安心ね」

…竹内せんせい?

なんだかあたし、胸の中がまたざわざわした。

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