第43話

そんなことがあったけど、お母さん、てんくんの前では明るい。

それを見るあたしはちょっと複雑な気持ちだ。

でも今はそれを気にすべき時ではない。

あたしはてんくんが明るくいれるお手伝いするって決めたんだから。


今日はあたしがお姉さんと出会った時の話をしている。

「え〜じゃあ最初はさやちゃん、自分が座敷童子って知らなかったの?」

「うん、変だよね」

「きゃあ〜パン手に持ったまま落ちて、おばあさんの前に座ったの?」

「ぷぷ、あれは可笑しかった」

「それじゃ絵本買ったらさやちゃんのスケッチ見れるね〜」

「そうだね」

てんくんは話が相当面白いらしくて、すごくおしゃべりになっている。


「じゃあ、どこかにさやちゃんのパパとママが生きているんだね」

てんくんはコテっと首を傾げてあたしをのぞき込む。

「…ボクもお手伝いするよ!さやちゃんのパパとママさがすの」

「え…」

「いちばんは治療頑張る、だけどね」

「うん、ありがとう!」


てんくん、優しいな。

治療が上手く行くよう願わずにいられない。

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