第37話

「たかひとくん、残念だったわね…」

「うん、私まだ受け止めきれない。あんなに頑張ってたのに…」


てんくんがやっと眠ったあと、あたしが病棟の中を見て歩いている時だった。

通路の先の給湯室で看護師さん二人が話し込んでいた。


「てんくんには知らせないようにしてたのに、分かっちゃったみたい…」

「あ〜あの子、ギフテッドだもの、聡いわよね」

「あまり深刻なダメージがないと良いけど…仲が良かったから心配だわ」

「そうよね、ギフテッドって周りとうまくいかない子が多いらしいけど…」

「うん、てんくんはみんなと仲いいよね。たかひとくんには特に懐いてた」


ギフテッドってなんだろう?


「あの子、治療が難しくて…今は特に落ち込まないように気をつけてるのに」

「そう…心配よね。誰か気持ちを明るくしてくれる友だち、いると良いけど」

「本当にそうね」


うん、さっきのてんくんなら、座敷童子ほんとにいた〜〜なんて元気だったよ!

しばらくは落ち込んでる暇ないんじゃないかな。

てんくんを落ち込ませない役割、まかされよ〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る