第二章 子供病棟のてんくん
第36話 見知らぬ部屋2
気がついたら部屋の隅に座ってた…
ぼーっとした頭であたりを見まわす。
ぼんやり薄闇に沈んだ部屋の中はベッドが置いてあるらしい…
…あたしってば、お姉さんのおうちからワープしちゃったんだ!
なんでなのよ〜〜
ここどこ?
うぅ‥うぅ‥ なんだか籠った声が聞こえてきた。
‥ぐすん‥ え? 泣いてる?
あたしは正座していたソファーの上からそろっと降りる。
誰が泣いてるんだろう?
ベッドの方に近づくと、小さな子どもが肩を震わせているのが見える。
ぐずっ‥ ぐずっ‥
どうしたんだろう? こんな夜中に眠りもせず泣いているなんて…
あたしはその子の肩をそっと撫でる。
はっとしたような顔でこっちを見たのは可愛い顔の男の子だった。
あたしの顔をじっと見て、誰なの?という顔をする。
「どうして泣いてるの?」
あたしが聞くと、その子は手の甲で涙を拭き、「ごめんなさい」と言った。
どうやら…人前で泣いちゃいけないと思っているのかな?
あたしはその子の手をそっと取って、「どうしたの?」と重ねて聞いた。
「あのね…タカくんがね…ずずっ…しっ、死んじゃったんだ」
「そうなの……それで泣いてたんだ」
「君…君はだれ?」
「あたしはさやちゃんって呼ばれてる」
「…さやちゃん…」そっと優しく呼んでくれる。
「ボク、てんくんだよ。さやちゃんも入院してたっけ?ボク会ったことないな」
入院…そうか、ここ病院なんだ!
「ううん…あたし病気はしない、座敷童子だから」
「えっ…」
その子‥てんくんは目を丸くして何か考えている風だった。
「ふふ…ウソじゃないよ。見てて」
あたしは部屋の壁を抜け廊下からまた戻る。
「うわ〜〜こんなのあるんだ! うそみたい!」
てんくん、テンション上がっちゃった〜
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