第33話

お正月までお姉さんはいないから、少しお部屋を片しておこう。

夕方からあたしは、のんびり部屋を掃除し始めた。

お姉さんが慌てて選んで置いていくことにしたセーターとかをしまう。

クリスマスツリーから外して眺めていたオーナメントも箱にしまう。

最後に掃除機をかけたら、小さな部屋はすぐに片付いてしまった。


今度はタマちゃんの明日の朝食用にパンを焼く。

タマちゃんは意外と洋食系なんかが好きで、パンも喜んでくれる。

小麦粉を計りイーストや卵などを混ぜ、水分が行き渡ったら捏ねる。

たっぷり捏ねてグルテンができたら、レンジの発酵にかける。


待っている間にお兄さんの絵本「むーくんとお引越し」をまた見てみる。

座敷童子が出てきてむーくんと遊ぶシーンは何度見ても楽しい。

あたしがモデルになったからだろう、ことに愛着がある。


レンジの音がなり発酵が終わった。

ガス抜きをして分割し、10分置いたらバターを巻いて成形する。

もう一度発酵させてから、ツヤだしを塗り塩を振って焼く。

少しすると部屋中にパンの良い匂いが広がった。

これは幸せの匂いだよね〜


次は、お正月用のお菓子にクッキーを焼く。

アイスボックスクッキー、メレンゲ、ブールドネージュを準備。

最後にタマちゃん、お姉さん、お兄さん、あたしを模ったクッキー。

ちょっと下手だけど、なんとなく分かるよね。

今度はパンよりも甘い匂い。


全部出来上がって、小さなテーブルいっぱいに並べたら壮観だよ〜

粗熱が取れた塩バターロール🥐はふんわりラップをかぶせておく。

クッキーは前に食べた可愛い空き缶があったので、そこに詰めていく。

最後に四人の形クッキーを乗せたら、めっちゃ可愛い!


蓋をしてすべて終わると、あたしは満足のため息をついた。


部屋中甘い匂いが籠っていたので窓を開ける。

もうすっかり暗いけど、前のお家にしめ飾りや門松が飾られているのがみえる。

その隣りはイルミネーションのサンタが門松や鏡餅の模様に替わっていた。

ちょっと笑える。


少し外の景色を楽しんだあと、窓を閉めて一人テーブルの前に座った。

空気が入れ替わり冷たい。


空気が入れ替わって冷たいんだよね‥


あたしは急に立ち上がり、しまったはずのお姉さんのセーターを取り出した。

くるんと包まって温まる。

「あ〜 お姉さんの匂いがするみたい〜」

あたしはふんわりとした気分になり、少し眠くなった‥

あたしは気づかなかった。 眠らないあたしが眠くなるのはおかしいって‥

そのまま、あたしは意識を手放した‥





第一章  完

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