第26話
「さやちゃん、最近元気がないねー」
食材を取りにきたあたしにタマちゃんが言った。
え? そうだったかな‥
タマちゃんは誤魔化せないな〜
「何かあったのかい?」
タマちゃんはスーパーから届いた品物を仕分けしながら聞いた。
「‥うん。お姉さんたち、二人で奥多摩に行けることになったんでしょ?」
「会社から転勤の打診があったって言ってたね〜」
「あたし…邪魔してるよね? あたしがいなかったら問題ないもの…」
「あ〜それで気にしてるの?」
俯いてしまったあたしに、タマちゃんはひとつため息をついた。
「ちょっとお茶でもするかね」
タマちゃんはそう言ってから小さな水屋を覗きこんだ。
「あ〜お饅頭でも買っときゃ良かったね。お茶請けきらしちゃってるよ」
あたしはちょっと考えて聞いた。
「タマちゃん、この前お汁粉した餡子、まだある?」
「まだ半分くらい残ってるよ」
「白玉粉もあったよね」
タマちゃんは面白そうな顔になって頷いた。
あたしは手早く深鉢を出して、白玉粉20gと砂糖大匙1、水40ccを計って入れた。
粒を潰すように良く混ぜて、ふんわりラップでレンジに1分。
取り出して混ぜたら、また1分。 待つ間に餡子の団子を四つ作っておく。
最後にもう一度混ぜたら、片栗粉を敷いたところに取り出し二つ折に重ねる。
タマちゃんは興味深々であたしの手元をのぞいている。
四分割したら平たく伸ばし片栗粉を外側に再度つけ、餡子にかぶせながら丸める。
「はい! 求肥の大福餅〜」
「おお〜」 タマちゃんが目を丸くして手をたたく。
「これなら食べたいと思ったら、すぐ出来ちゃうね〜」
タマちゃんがお茶の用意をしながら、小皿にお饅頭をふたつずつのせた。
席につこうとした時にタマちゃんは何処からか出した金粉をチョンとのせた。
え〜! なんてシックなの〜〜
黒漆の小皿の上で求肥の大福餅はキリッと澄ましている。
〜〜〜〜〜🌷〜🌷〜🐿〜🌷〜🌷〜〜〜〜〜(( 作者のひとり言 ))
餡子と私(または求肥の天啓)
子供の頃は餡子といえば粒あんだった。
それがこの歳になってみると、くどさのないこし餡こそ最上と感じている。
歳というものは味覚さえ左右する。
それは扨措、餡子好きの私は買った餡子をそのまま食べてしまうことがある。 (まるで子供じゃないか!)
これはこれで幸せだけど、甘い物は多食すると胸が悪くなる。
どこで
そこで発見したのが「求肥の大福餅」
(発見‥したつもりだったがネットに出ていた)
10グラムの白玉粉で作った求肥でこし餡を丸めて包む。
そうすると小ぶりな大福餅が二つできる勘定だ。
途中で求肥に赤紫蘇のふりかけを少し混ぜたり、柚子胡椒少々を最後に練り入れたりするのも乙なもの。
10分ほどで作れるし、食べすぎることなく満足できる。
これはオススメ! 私は伝道師となろう!
ということで、この回では、さやちゃんにこれを作ってもらいました。
二人分なので倍量で作っています。
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