第24話 部長の話2

「何かなってドキドキしちゃったけど、聞いてみたらこんな話だったの。」



ーーーーーーーー(部長さんの話)ーーーーーーーー


音野さん、今日は君の意向が聞きたくて来て貰ったんです‥


少し噂になってるんじゃないかと思いますが‥

うちの事業部を東京に吸収合併しようという話があるんです。


取引先が変わるわけではないので、当面人員が減るといった問題はありません。

東京と大阪で仕事の住み分けができていますしね。

まあ、諸事情で転勤が難しければ、他事業部へという事もありえますが。


まだ本格的ではないものの、大阪から調整役を東京に送ることになったんです。

東京でこれまでの仕事をしながら、大阪特有の事情などを伝えてもらう。

取引先になるべく影響が少なく、仕事のできる人物の派遣をと考えまして。

それで、中部担当の洲本くんならと思い打診したんです。

それはすぐ了承してくれたんですが、洲本くんの方から提案があったんです。

同じ仕事をしながら、東京と大阪でというより、音野さんと2人で行きたいと。


1人で充分かとも思っていたんですが、確かに仕事としてはその方が都合が良い。

ただ音野さんが転勤を嫌がるのでは、と思いましてね。

まあ、これを機に少し彼と離れてみるのも良いのではという気もありました。


ところが洲本くんは他の女性社員から音野さんの事情を聞いたらしい。

結婚を考えている人が東京に行くことになり、困っていると。

洲本くんに、あなたがこのまま辞めたりするのは非常に惜しいと言われたんです。


あの洲本くんが‥と思うと、僕も少し胸にくるものがありましたが。


どうでしょう、音野さんさえ良ければ、真剣に考えてもらえませんか?

時期もそんなに急いではいないので、ゆっくり決めてください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る