第21話 仲違い

お姉さんとお兄さんは本当に幸せそうだった。

アドヴェントカレンダーみたいにカウントダウンだと思っていた。


それなのに……突然二人は仲違いしちゃったの。


お姉さんは週末はお友達と出かけてばかり。

タマちゃんちにも来ないし、お兄さんに会わないようにしている。

お兄さんはショモたれた感じで、タマちゃんに慰めてもらっている。


大好きな二人がケンカしちゃって、あたし…どうしたら良いの?


「さやちゃん、明日も友達に会う予定があるの。」

お姉さんが土曜の晩にそう言った。

「タマちゃんによろしく言っておいてね。」

「お兄さんにはいいの?」

「プン!」

ぶっ! 効果音、口で言っちゃってるよ〜

「ふふっ、本当のところはね、怒ってる訳じゃないの。」

「ええ〜じゃあ、どうして?」

「冷却期間のつもりよ。顔を合わせると決定的にケンカしちゃいそうで…」

「何があったの?」

「う〜ん、結婚についての意見の相違ってとこかな?」

なにそれ? 二人で一緒に暮らすって、そんなに難しいものなの?


「それにね、ちょうど親友の相談に乗っていたのよ。」

「親友?」

「うん、大学で一緒だった莉奈。双子って言われるほど仲良かったの。」

「ふ〜ん」

「中学でも一緒だったのに、大学に入って急にね。」

お姉さんがちょっと子供のように笑った。

大人の顔を忘れるくらい仲良しなんだね。


「明日は莉奈の親戚の子のお見舞いに付き合うつもりよ。」


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