第17話

タマちゃんとの平日のお昼に、お兄さんが相談事をしていた。

お兄さんは絵本も順調に出版されているようだし、何だろう?


「そういう訳で、奥多摩の方に来ないかとずいぶん前から言われてて…」

「えっ? お兄さん、引っ越しちゃうの?」 ガガーン!!

「みんなと仲良くなる前にほぼ決めてたんだ…今となっては決めかねるよ…」

「引越すかどうかより、先に決めることがあるんやないの?」

タマちゃんはお兄さんを諭すように言う。

「なかなか思い切って言い出せないもんですよ。」

お兄さんはちょっと恥ずかしそうに言った。

?? 二人が何の話をしているのか、あたしには分からなかった。


その晩、帰って来たお姉さんにその話をしたら悲しそうな顔をした。

ほら、お姉さんだって、せっかく仲良くなったのに寂しいよね。

「お兄さんも寂しいはずだもん。 あたし、きっと引っ越しやめると思うな。」

「…どうかな。仕事の関係で決めたとしたら…」

そんなの嫌だ! お兄さんがいなくなるなんて…

「絵本が売れて、仕事も順調でしょ? 自分の家を持つ時期なのかも。」


その後その話題は出なくなり、あたしもだんだん忘れていった。



そんなある日、お姉さんがちょっと興奮したような顔で帰ってきた。

「どうしたの? お姉さん。」

「うん、部長と話してみるって前に言ってたでしょ。」

「うんうん! どうなったの?」 

「今日時間を取ってくださってね。 話を聞いて本当に良かったわ。」

「味方になってくれたの?」

「う〜ん、そういうことでもないの。明日は土曜だから、みんなに話すわね。」


わーん! 気になっちゃうよう…

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