第3話
結局のところ、その見も知らない女の子はあたしだった…
なんで5、6歳くらいまで小さくなっちゃった訳?
あたし4年生になって何でもできるようになったのよ、だのに…
それにこのキモノ! 時代劇の田舎の子じゃないんだよ。
ママと買ったお気に入りの服はどうしたの?
ちょっとぼーっとしちゃったけど、今はそこは考えないことにする。
気を取り直して部屋を見まわしたら、ちょっとため息が出た。
この部屋にいなきゃいけないなら、少しは安全に歩きたい。
ちょっとだけ服をかたしてみようかな?
あたしはそっと服を畳んだり、ハンガーに掛けたりしはじめた。
手を動かして、余計なことは考えない。
急ぐこともない。 時間はたっぷりあるんだもの。
…だんだん窓から玄関まで畳が見えてきた。
コンビニ弁当も洗ってビニール袋にしまう。
あたしってば優秀でしょ? お手伝いのプロねってママも言ってたもの。
お布団も畳みたいけど、ちょっとやり過ぎかな〜
掃除機をかけて終わりにしよう。
少し空気を入れ替えようと窓を開けたら風におしろい花の匂いがした。
お向かいの平家の向こうにある小さな空き地に咲いているのだろうか。
お向かいのお家も花をいっぱい咲かせているけど夏の花はあまり匂わない。
あ…こんなに変わってしまったのに、匂いとかは普通なんだね。
時々犬を散歩させる人がいたり…窓から通りを眺めるのは楽しかった。
いつの間にか夕方になっていたようだ。
何処かから煮物の匂いがしてきた。
この部屋のお姉さんももうすぐ帰ってくるかしら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます