第2話
せせらぎの音…とりのさえずり…
でも、これって……目覚まし時計の音?
止まって又静けさが戻る… ???
「ん...んんう...」
えっ?服のかたまりの下からうめき声?
……服のかたまりじゃなくてお布団だ。服に埋もれて分かりにくい。
もそもそと中から頭が出てくる。びっくり、人いたんだね。
ガバッと突然上半身を起こし「ワアーッ」と叫んだ。
そりゃそうだ。突然部屋に見知らぬ人間が座ってんだもん。
そう思ってたらそこはスルーして、やおら立ち上がってトイレのほうに走りこんだ。
ジョロジョロ…ジャー…ガラガラ…シャカシャカ…ペッ
今度はすごい勢いで戻ってきて、散らばってる服を物色する。
その間こっちを振り返ることも気付く様子もない。
あたしは思わず口を開いたまま見入ってしまった。
ようやく決めた服にパパパと着替えると、顔に化粧水だのファンデーションだの塗りたくる。
鏡であっちの角度こっちの角度見た後、カバンを取り出した。
えっ?お化粧はもういいの?白お化けだよ…
アイシャドウやまつげカーラーなんかを鷲づかみでカバンの中に投げ入れる。
時計をチラ見したあと怒涛の勢いで玄関へ突進した。
「ええっ、鍵閉め忘れてたんかー」
そう言って超スピードで玄関から飛び出した。
「あっ、カギカギッ…(カチャ)今度は忘れないよっと」
廊下のほうからけたたましい足音が遠ざかっていった。
はあー
こっちが疲れたわ。
あれは…なんだ、ほら、ママが言ってた電車の中で化粧するってやつかな…
まーカバンに放り込んでたってことは、今日は緊急事態だったのかな?
目覚まし時計が止まってから、しばらく寝てたもんね。
あっ、鍵は掛け忘れたんじゃなくてあたしのせいだと思うけど…
って、なに果ててんの?
あたし、それどころじぁあないのよ。
あの後二回、外に出ようとしたけど、毎回道に出たところで、気付いたら部屋に戻ってんの…
どーいうことなん?
そっと立ちあがって、時々つまずきながら部屋を見てまわる。
そこに答えがあるわけもなく、ほとほと困ってしまう。
ひっ! その時、何か動く影が見えた。
って、よくよく見たら鏡じゃんよ…
鏡の中には5、6歳のおかっぱ頭の女の子がいた。
えっ?鏡の国のアリス?
…昔話の田舎の子みたいに足の出たキモノ着てアリスはないか。
いやいやいや、あんた誰?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます