第81話「萌え」小説の尊さと残念さ
えーと。藤光は時代小説を書いているわけですが――「青海剣客伝」のこと――自分ではあまり時代小説を書いているという気分ではありません。って、書いていることが矛盾してますか?(苦笑)
わたしが書いているのは、「時代小説というジャンル小説」の二次創作です。
だから、以前澄田さんから「藤光さんは時代小説の公募に出したらいいのに」とコメントしてもらいましたが、わたしにとっては「そんなのとんでもない。恥かいちゃいますよ」って感覚です。。。
わたしのイメージする時代小説というのは、作者側に書きたいテーマがあって、それが江戸時代とか過去の時代にあるもので、書くためにしっかり下調べをして(ここ大事!)、時代小説の定型に従って(あるいちょっと外して)描かれるもの。歴史的事実に基づく緻密なディテールが時代小説の生命線だと思います。
二次創作って、そうじゃないでしょう。原作から自分の萌えていることを抽出して、そこを強調して、もしくはそればかり書くのが二次創作じゃないですかね。自分が良く知っている範囲内で想像力を働かせて描くから下調べもほとんどしないんじゃないですか? 二次創作って。
わたしはそういう感じで「青海剣客伝」書いています。ただ「萌え」を書いているんです。時代小説の何に萌えているのかって? そうですね……。
第一の萌えが「チャンバラ」です。
チャンバラというのは、刀で斬り合うことを表す「ちゃんちゃんばらばら」という擬音に由来する言葉で、剣戟をクライマックスに据えた時代劇のことを指します。
意外に時代小説でチャンバラを描いたものって少ないです。もちろん剣戟の場面がある小説は多いですが、そこに文字数を費やす小説はとても少ないですね。理由はたぶん、剣戟のバリエーションってすでに出尽くしているから。そして書き手が剣戟に疎く、細部を描写できないからだと思います。
わたしはその点が不満で書きはじめたのですが、書いてみるとめちゃ楽しいです。戦うシーンを描くの。新しい剣戟のバリエーションを付け加えようなんてまったく思いません。何度だって同じ立ち回りを描きたいし読みたいです。描きたいところに重点を置いて書く! 二次創作の醍醐味ですよね。
第二の萌えポイントは「時代小説らしい言い回し、表現を駆使すること」です。
時代小説では江戸時代を舞台に物語が展開されるわけですが、キャラクターにちょんまげを結わせさえすれば、現代劇が時代劇になるわけではありません。
当時の身分制度、社会経済構造、倫理観の中で生活しているキャラクターらしい、言葉遣いや立ち居振る舞いをさせなければなりません。
時代小説を読み慣れない人にとっては、物語を楽しむ上でのハードルとしか感じられない当時の社会・風俗・制度・習慣ですが、ある程度慣れた人にとっては、こういうのを駆使して物語を作るのがすごく楽しいんです。
――あ、こういう言い回しってあるよね。
――この制度知ってる。意外と皆知らないけど。
――そう来たか! この後、あの事件が起こる伏線だな。
うまく書けませんが……「江戸時代のこういうところ知ってるでしょ?」「おれこういうの好きなんだけど、みんなどう?」っていうオタクなやり取りを時代小説を介してやりたいんですよ。
分かり合える人以外を置いてけぼりにしてしまいますけど。逆に一般読者からは置いてけぼりにされますけど(爆)こういうのって二次創作でオタクたちがやってることでしょう?
わたしは時代小説の二次創作をやってるんですよね……。ガチで時代小説や歴史小説を書いている人とはノリが違うので、なんか混じったら失礼だなとか、ガチは怖いなって思ったりしてしまいます。
あと、二次創作ゆえに、これがカクヨムの「代表作」になってしまうのは抵抗があります。ホントは藤光オリジナルみたいな小説を読んでもらいたいし、そっちの方が何倍も苦しんで書いているんでね……。
あー。また、取り止めのないことを書いてしまった。スミマセン。
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