第78話 距離感の描写について
>作家にとって描写の力は大変重要です。
前回書いた『生き残る作家、生き残れない作家 冲方塾・創作講座』のなかで冲方さんは、「描写」ついてこう書きます。そして、描写については、
>文章においては五感の描写をフルに活用することで読者の感性を様々に刺激することができます。
と書き、五感と対象との距離との関係について次のように解説してくれます。
1 聴覚 最も遠いものの接近や遠ざかりを感じ取る
2 視覚 行動すれば手が届くものを感じ取る
3 嗅覚 すぐ近くにあるものを感じ取る
4 触覚 皮膚による接触を感じ取る
5 味覚 皮膚よりも内側、最も体内に近い場所で感じ取る
>ホラーなど、危険な何かが接近してくる描写は、必ずこの順番で描写されます。なぜなら人が対象の接近を認識するのが、この順番だからです。
なるほど~。人の感覚と対象物との距離についてこんな風に考えたことがなかったので、目からウロコでした。さらに、冲方さんは空間的な広がり感じさせる描写についても書いています。
>いわゆる「立体感のある描写」は、がらんとした広い場所を描写するよりも、いろいろとモノが重なって、彼方が見通せない場所を描写するほうが、迫真的に受け取られます。
>これは人が、死角があることによって立体感を覚えるという、五感の発達に基づく習性が肉体的に温存されているからです。
ふーん。こういうことも考えたことがないし、じっさい意識して描写したことはありません。わたしの小説の描写は、圧倒的に視覚情報に基づく描写です、ほとんどこれ。聴覚、嗅覚についての描写は「やってみようかな」と思ったことはありましたが、「なんのために?」と考えた時に必然性がないように思われたのでやったことはなかったんです。でも、冲方さんが解説してくれたように、より遠くの対象を認識する手段としての聴覚という考え方を認識していると、描写の幅がぐんと広がりそうです。ぜひ、つぎに小説を書くときは人の五感を意識した描写をしてみようと思います。
この本のいちばんの収穫は、この人の五感と描写の関係についてヒントをもらったことですね~。つぎの作品ではこういうのを考えながら書いてみたい。
☆☆☆
例によって、三題噺を書こうと思っています。まだあとひとつお題が足りないので、「藤光にこのお題で書かせたい」というのがありましたら、近況ノートの方へお願いします〜。
https://kakuyomu.jp/users/gigan_280614/news/16817139555539816825
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