第65話 小説では要約しない方がいい

 やるんだったら要約ではなく、省略した方がいいと思います。


 本格的に小説を書きはじめた、七年前。わたしがはじめてネット上にアップした小説は2200文字のショートショートでした。ショートショートが書きたかったわけではありません。長い小説が書けなかったのです。


 どういうことかというと、本来ならもっと言葉を連ねて情景描写や心情描写ができるはずなのに、その部分を描いていていなかったんです。説明的な表現を使ってそういう箇所を要約してしまっていたんです。


 ――もったいない。


 七年後。いまのわたしは心情描写こそが小説のもっとも「おいしい」部分じゃないかと考えはじめています。それを書いていないんじゃ、アンコの入っていないたい焼きと同じだよ、と言いたい。笑


 説明を読むのは苦痛だけれど、描写を読むのは楽しい――小説が短くなるのは、描写が減って説明が多くなっているからではないかと思います。説明の多い小説は読みにくいです。


(わたしの近作では「死神と過ごした数週間でぼくが気づいたこと」https://kakuyomu.jp/works/16817139554821625077が、やたら説明的描写の多い小説になりました。読みにくかったと思います。すみませんでした。もっともっと文字数を使って書くべき内容でした。)


 説明的な小説は、読んでもらえません。

 文字にするとある程度の分量(かなり多い分量)となるエピソードをすべて文字にせず、短い文章に要約しようとすれば、説明的になるのは避けられません。ところが説明的な文章は読みにくく、読みにくい文章は読んでいても楽しくないのです。


 カクヨムをはじめとしてネット小説には、読みやすくて楽しい小説がたくさんありますから、読者はそうした読んでいて楽しい小説に流れていってしまうでしょう。おもしろく興味深い小説より、読みやすく楽しい小説の方により読者を引きつける力があるように思います。多少文章は長くなってしまう(執筆時間が長くなってしまう)かもしれませんが、丁寧に分かりやすい文章を積み上げて書いた方が、読んでもらいやすくなります――ってこのエッセイが説明的になってどうするんだっ。笑


 自作について報告すると、最近の2作は☆欠病に罹患してしまっているようです。どちらも読みにくい、よく分からないことが原因だと思います。このエッセイをはじめた当初の目標だった☆100への道は険しい……。

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