第64話 年齢をいいわけにしない

 近況ノートにも書いたのですが、競馬の日本ダービーが開催され、武豊騎手の騎乗する3番人気、ドウデュースが優勝しました。すばらしいレースでした。


 レースについて語りたくて仕方ありませんが、競馬の感想はカクヨムに書く内容じゃないなと思うので我慢しておきます(笑)


 馬やレースのことではなく、騎手(ジョッキー)のことを書きます。

 このレースを勝った武豊騎手は、日本競馬界を代表するジョッキーです。若いころから「史上最年少記録」や「歴代最多勝利記録」など、主な騎手記録をつぎつぎと塗り替えてきた「天才」です。


 いまの日本でもっとも愛されたサラブレッドが、「怪物・オグリキャップ」だったとすれば、もっとも愛されたジョッキーこそ「天才・武豊」だと思います。


 武豊さんは、日本競馬最高峰のレース、日本ダービーを歴代最多の5度も勝ってきました。今日の勝利でこれを6度に更新したわけですが、同時に「史上最年長騎手によるダービー勝利」という記録も付け加えました。


「天才」武豊も、53歳になりました。19歳のとき、スーパークリークではじめてGⅠを勝ってから34年間、トップジョッキーとして走り続けてきましたが、さすがに50歳を過ぎると体力が衰えてきます。最近は、なかなか素質のある馬の手綱が回ってこなくなりました。それは馬主も調教師も、有力馬には「より勝つ確率の高い騎手を乗せたい」と考えるからです。


 年を取った落ち目の騎手――競馬界のレジェンドに対して、だれもそんな失礼なこと口にしませんが、騎乗馬の質が落ちてきたことが意味するところは明らかです。


 それだけに、今年の日本ダービーを勝利したことはうれしかったと思います。


 ――みたか! 53歳でもやれるんだぜ!


 めちゃくちゃうれしいです。わたしも。

 武豊さんが、50代の意地を見せてくれて、溜飲が下がる思いです。


 小説の公募賞って、若い人が有利じゃないですか。

 20代でデビューする新人が60代まで40年間、出版社に作品を供給できるのに対して、同じ年代まで書き続けるとしたら、50代でデビューする新人は10年間しか作品を書いてくれないわけで……そりゃ、出版社が比較的長期間にわたって稼いでくれそうな若い書き手にデビューの機会を与えようとするのは理にかなっています。


 ただ、50代の書き手としては「年齢のハンデがあるからな……」と頭の隅で考えながら書くのは愉快なものではありません。


 今年の日本ダービーは、こんなわたしを「年齢のことなんか考えずにやってみろよ」と励ましてくれたように感じられました。いや~、いいレースだったなあ。スマホで何度もレースの動画を見てますが、見るたびに泣けてきます(苦笑)おめでとうドウデュース。おめでとう武豊。

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