第61話 いつだって今が一番

 先日書いたNHKの「阿佐ヶ谷アパートメント」がそういうテーマを扱っていたのですが、最近「昭和レトロ」とか「バブル」とか「令和と昭和のギャップ」がウケる(イジられる)感があるんですか? いまいちピンと来ていないのですが。


 昭和がイジられるコンテンツがウケるというのは、たぶん若い人たちが「昭和からの圧」を感じるているということの表れじゃないですかね。いま、組織の幹部に収まってる人たちは、バブル期に10代後半から20代前半だった人たちです。縮小経済の日本に生まれ育った、いまの組織で働く若い人たちとは、かなり価値観が違うはず。その世代間の軋轢が「昭和イジリ」という形で消費されているんじゃないですか。そうだとすれば、バブル世代の一人として、身が引き締まる思いだなあ。


 思い返せば、平成30年間が終わり、令和ももう4年目。「昭和は遠くなりにけり」ってわけでしょう。


 わたしは昭和を18年間生きました。昭和末期が、青春前期ってわけ(笑)昭和末期の景気は良かったですね。80年代、円高不況なんていう時期もありましたが、「景気は循環する」って言われてて、現にバブル景気がやってきて不況なんてあったっけ? みたいな空気でした。70年代後半から90年代前半にかけて、日本人は経済に関して非常に楽観的でしたね。


 いまみたいな、「給料増える見込みなし」って時代とはまったく逆。公務員の給料なんかも毎年ベースアップしてたみたいです(民間の景気(給与動向)を追って、公務員の給料は上がったり下がったりするので、バブルが終わっても上がってた)。


 だからといって、昭和がバラ色の時代だったかというとそうではなかったように思います。男女の役割が固定化されてて、特に自由に働きたい、自分を表現したいという女性には不自由な時代だったと思います。


 また、地縁・血縁の繋がりが濃くて、いわゆる「コネ」と「金」が色んなところでモノを言う世の中でしたから、いまよりずっと不公正なことが多かったです。昭和の人は「それが世の中というものだ」とまかり通る不公正、不公平に泣き寝入りしていたように思います。


 この30年で世の中はだいぶきれいになりましたよ。政治家・公務員の汚職も減りましたしね。「ロッキード事件」「リクルート事件」などに見られるように、昔の汚職犯罪は金額も影響力もいまとは桁違いでしたから。ま、金を渡す企業や受け取る政治家の隠蔽工作が上手になって検察が尻尾を掴めなくなったのかもしれませんが。。。


 わたしは10代の頃、「昔(昭和30年代、高度経済成長期。東京オリンピックの頃)の方が良かったなあ」って思ってました。人間は皆、30年くらい過去のことを「あの頃が良かった」って振り返るんじゃないですかね? だから、30年後には「令和ヒト桁が一番いい時代だったなあ」なんて振り返られるのだと思います。


 ホントはいつだって今が一番。精一杯がんばって生きるべきなんでしょうねえ。

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