第58話 カクヨム甲子園2022によせて

 お知らせで「カクヨム甲子園2022」の告知がありました。

 いうまでもないかもしれませんが、「カクヨム甲子園」は高校生限定のコンテスト。おじさんであるわたしがお呼びでないことは分かっています。例年、告知があっても完全スルーするのですが、今年は「カクヨム甲子園」にかけてひとつエッセイを書いてみようと思います。


 わたしの小説やエッセイのフォロワーさんは、妙齢の女性と年食った男性ばかりであり(藤光の想像です)、高校生はいないと思います。(もしいたらぜひコメントください、お友達になりたい!)なので、つぎのような書きぶりになるのですが、


 ――高校生のときに、カクヨムがあったら「カクヨム甲子園」に参加しますか?





 わたしなら、参加したでしょうねえ。


 80年代後半、当時のわたしはコンピュータゲームとSFとゲームブックが大好きな卓球部員でした。オタク気質で女っ気は皆無、自身ではじぶんは硬派な高校生だと勘違いしてましたね(笑)


 最初に「小説」を書いたのもこの頃でした。

 金曜ロードショーで観た『風の谷のナウシカ』に衝撃を受けたわたしが、「風の谷」の世界観を借りて異世界転生モノのような、二次創作のような「小説」を書きはじめたのがそもそものはじまりです。いまでいう「中二病的」な内容の拙い書き物でしたが、結構熱心に書いていましたねー。


 完全に自分のために書いていたので「人に見せる」ということはまったく想定していませんでした。そんなの恥ずかしすぎて絶対に人に見せようとは思わなかった。小説の公募賞なんて、縁もゆかりもないものだと考えていました。


 ただ、大ブームだったゲームブックを偏愛していたわたしは、かなりの数、ゲームブックを遊び倒しており、「時間さえあれば、ゲームブックなら書けるんじゃね?」とは思ってました。いつか東京創元社の主催する「創元ゲームブック・コンテスト」に応募するのが夢でしたね(じっさい、このコンテストに入賞した作品が書籍化されてて、作者さんが執筆時学生さんだったことを知ってテンションも上がりました)。


 ゲームブックブームは、90年代にはいると急速に縮小し、ゲームブックが出版されなくなってしまいます。コンテストはなくなり、わたしの創作意欲も行き場をなくしてしまいました。一過性のブームってのは、儚いもんです。




 わたしが、高校生のとき(86~88年ごろ)にカクヨムがあって「カクヨム甲子園」があれば、わたしは『異世界転生モノ』を書いて参加したでしょうね。


 えっ、今と変わらないじゃないかって?


 そう。でもね。「コンピュータRPGっぽいライトなファンタジー」って、いまでこそ手垢のついたモチーフで目新しくもなんともありませんが、当時は「最先端の若者オタク文化」でした。


 小説はもちろん、メジャーなマンガ誌でも「ライトファンタジー」を描いたものはありませんでした。新しすぎて編集者が売れると理解してなかったんですよ。潮目が変わるのは『ロードス島戦記―灰色の魔女―』(1988年角川文庫)の大ヒット以降です。



 高校生っていいですよね。その感性は無自覚に時代の最先端を走っています。

 いいな~、いまの高校生には「カクヨム甲子園」があって。うらやましいぞ! 参加する人は自分の感性を信じてがんばってください。

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