第50話 私的、BL概史③

 引き続き、『BLの教科書』第1章の内容について、わたしのつぶやきとともに紹介します。ってか、おもしろすぎるなこの本。


☆☆☆


☆「BL:ボーイズ・ラブ」というジャンルの確立――初めて「ボーイズラブ」の言葉が使われたのは、1991年12月に白夜書房から創刊された雑誌『イマージュ』で、表紙に「BOY'S LOVE COMIC」の文字が見える。(P12)


 もちろん知らないです。わたしが「BL」を知ったのは21世紀に入ってからだと思う。90年代はまだ、男性同士の性愛は「ホモ」だと思ってたし、男性向けポルノ誌の『さぶ』か『薔薇族』の世界観から踏み出せてなかった。男だからね~。女性が「BL」を楽しんでいると知った時は、衝撃だったなあ。


 ――そんなモノ楽しいの!?


って。



☆1990年代に確立した商業BL作品ジャンルの特徴は、それまでの『JUNE』等を基盤とする作品に比べてより明るいエンタテインメント性が強調されてきたことである。(P13)


 これも衝撃的でした。背徳感っての? かつての「同性愛」には後ろ暗いところがあったのに、それが「BL」にはないんです。わたしがカクヨムで読む限りでは。切ない感情の交換はあっても、男性同士が愛し合っていることについては肯定的というか積極的に認める方向なんですよね。まったく違うカルチャーに触れたと思いました。



☆英語圏では、Boys Loveという言葉は文字どおり少年を対象とする性的嗜好をまず連想させるため、男同士の性愛や強い絆を描いた作品はYaoiという分類で書店に並んでいる場合が多い。(P14-15)


 まじっすか。やおいって国際語なんだ……。

 ってか、海外でも「BL」に需要があるとは、まったく想像の範囲外です。



☆女性向け「男同士の愛」の4段階・4区分

『少年愛』…… 1970~80年代。少女マンガ誌に掲載。竹宮惠子・萩尾望都・山岸涼子など「花の24年組」中心。

『JUNE』…… 雑誌『JUNE』(1978~96)に掲載。「耽美」とも呼ばれる。(『JUNE』に掲載されていない作品でも、作風が『JUNE』的であればJUNEと呼ばれることがある)

『やおい』…… 1980年代後半以降、「キャプテン翼」二次創作ブームから急速に広がる。基本的には同人作品で、既存の作品の二次創作を指す。「攻・受」がある。

『BL』…… 1990年代以降、商業ジャンルとして成立。二次創作でないオリジナル商業作品。「攻・受」がある。(P15)


 いわゆる商業BLとBL、やおいとの境界があいまいだというのは、カクヨム作家さんたちのコメントを読めば推測できるので、これは本書での区分ということなのでしょう。BL概史としては、これで充分です。めっっっちゃ、勉強になりました。


 でも、まだわたしの疑問の本質部分――どうして女性はBLを好むのか――について、第1章ではほとんど触れられてませんでした。このさき読んでいくと、書いてあるんでしょうか、楽しみです。


(おわり)

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