第30話 逃亡者
「逃げる」というのは、あまりいい言葉ではありません。どこかにうしろめたさを背負った言葉ですね。わたしの感覚なのかな。藤光です。
今回は、競馬のお話しです。
長い人生、いろいろなものに背を向けて逃げてきました。ヘタレなものですから、嫌なことから逃げ出すことで、いまなんとか日々の生活を送っています。一般的に「逃げる」のはよくないこととされていますが、「三十六計逃げるにしかず」といいます。なりふり構わず逃げてこそ道が開けるということもあるのではないでしょうか。
先日、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイで、競馬ファンにはおなじみの競馬の祭典「ドバイ・ワールドカップデー」が開催されました。いくつもの国際重賞レースが開催され、日本の馬が何頭も勝利しました。その勝った馬の中にパンサラッサという馬がいます。彼は「逃げ馬」です。
牧場から逃げ出した馬ではありません。レース運び・戦術を示す呼称で、競馬用語では「脚質」と呼ばれます。馬の脚質には、だいたい「逃げ」「先行」「差し」「追込」の四種類があると言われます。
「逃げ」はレースで馬群の先頭を引っ張って走る戦術をとることをいいます。「先行」は馬群の前より逃げる馬を見る位置でレースを進め、ゴール手前で先頭を奪おうという戦術。「差し」は馬群の後方で力を溜め、第四コーナーから直線にかけてをスピードを上げていく戦術。「追込」は馬群の最後方に待機し
、最後の直線でラストスパートを決めよういう戦術です。
「逃げ馬」というのは、レースの戦術として「逃げ」を選択する競走馬のことを指していいます。
パンサラッサは今年二月の重賞レースでスタートから「大逃げ」を打って勝利し、話題になっていたのですが、一気に国際G1競走に勝利するまでに駆け上がったシンデレラホースです。ドバイでもスタートから果敢に先頭に立つと、最後まで粘り切り、先頭のままゴール板に辿り着きました。
わたし、逃げ馬が好きみたいです。
むかしの馬でいうと、サニーブライアン、セイウンスカイ、キョウエイマーチ、メイショウボーラー……といった馬たち。
逃げ馬というのは、成績が安定しないことが多い。前を走るので、後続の馬から目標にされやすく、多くの逃げ馬はレース終盤直線に差し掛かると、後ろからやってくる馬の群れに飲み込まれるのが普通です。
逃げ馬が、効率の悪い戦術をとるには理由があります。「臆病で他の馬を怖がる」、「馬の群れに入ると興奮して制御できなくなる」、「瞬発力に欠けるのでラストスパートでは勝負にならない」などなど。なんらかの欠点を抱えた馬が選ぶ戦術が「逃げ」なのです。
欠点を抱えた馬が、直線馬群に呑まれるかもしれないと恐怖しながら、全力を振り絞って先頭を走る。不利な戦術と知りながら、不器用に戦い続ける……。がんばれ〜って思います。「欠点を抱えている」「不利を承知でがんばる」ってところが、なんとも好きですねえ。。。出来の良くない自分自身に重なる。逃げ馬が勝ってくれると、スカッとするんですよね〜。
明日(3日)は、阪神競馬場でG1大阪杯が開催され、ここにも五連勝中「令和のサイレンススズカ」と評判の逃げ馬、ジャックドールが出走します。相手は昨年の年度代表馬・エフフォーリア、現役最強馬です。ジャックドールがどういうレースを見せるのか、めちゃ楽しみです。
がっつり競馬の話を書いてしまった。
ウマ娘からのウイニングポスト効果です。KAC終わったから、しばらく小説のことはいいんです。ではまた。
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