第3話

さて,

看板持って帰りますか.


「もう店じまい?」

お兄さん3人.

学生さんかな.

「もうお終いなんですよ~.

また,5日後開店します.

もしよければ.」

にっこり笑う.


「こいつ,今フリーなんだ.」


「そうなんですね~.

奇遇ですね,私もフリーなんですよ~.」


「フリーじゃないと出来なくない?」

何にも関係なさそうにしてた1人が話した.


「ですよね~.」

すかさずフォロー.

フリーじゃなくても出来ない事なのかな?

満たされた人は,こんな事しないか.

あぁ,そう考えると,

答えになるのか.


にこにこした後,

「でわ~.」


「えっ?」


「えっ???」

何?もう話終わったでしょ.


「連絡先ー.」


交換しないよ.

何でだい.

ほら,さっき答えポン出した子.

何か会心の一撃無いの?


「そいつは,おる.」


あははっ.

「10年後にでも~.」

ふらふらしてないで帰んなさい.

私もか.


3人組かぁ.

私と彼とほっちゃん.

3人で,よくあちこちした.

ほっちゃんは,

彼と付き合い始めてから

自然に離れていった.

私か彼か,

多分どっちかが好きだったんだろう.

「一緒に遊ばれなくなるやん.」

って笑いながら,

「おめでとう.」

って泣き笑いしてた.

かける言葉なんて無かった.

ただ,私たちが上手くいってる事が,

一番ほっちゃんのためになるんだとか

都合よく考えたけど.

そんなご都合主義.

今思ったら,上手くいかない方が

ほっちゃんのためになりそうだ.

連絡とってみるかな.

何ていう?

ほっちゃん,私たち別れたから,

また3人で遊ぼうよ.

言える~???

言えないわ.

てか,また3人で遊べないわ.

彼女さんと皆で…

とかも言えないわ.

あんた誰ですか状態になった時,

何て言えばいいのか.

私が言える立場じゃないか.

彼…

じゃなかった

元彼が…

元彼とかも言わない方がいいね.

言って欲しくないだろうから.


おぉっと,

看板握りしめて,

物思いに耽ってしまった.

3人組もいなくなってた.


さぁ,

お昼何食べよう.

カツ丼とか食べちゃって景気よく行こう.

だしがじゅわっとして

卵がふわっとしたやつ.

カツ丼は私のソウルフードだ.

スーパー寄ってこ.

ちょっと今から手作りはしんどい.

あとは,何買おう.


看板邪魔だな.

段ボールに書いたから,

真ん中折って捨てて帰ろうか.

また,5日後に書き直して,

持って来たらいい.

そう考えたら,段ボールって良い働きをする.

注釈を色々書くかどうか悩んでる.

そんな細々書くとさ,

ちょっと怪しくなるよね…

よね?

怪しい金融業みたいな感じになっちゃう.





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抱きしめ屋 食連星 @kakumi

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