第2話

ぱったり.

人通り自体が少ないね.

ちょっと早めに,

お昼食べよっかな.


ん?

「お姉ちゃん,抱きしめるの?」


「うんうん.

小さいのに,よく読めたねぇ.」


幼稚園?


「小さくないよ.

もう小学校行ける.」


「そうなんだ.」


「今日お休み?」


「きゅうこうになっちゃった.

コロナで,お休みの人出たから.」


「そっかぁ.」


出てきていいのかな…

駄目よね.


「お家の人は?」


「お仕事.」


「そうかぁ.」


「抱っこしてくれる?」


「知らない人と,お話しちゃいけないって言われてない?

大丈夫?」


「そんな事言われてない.」


マジかぁ…

小さい子はご遠慮しますって書いた方がいいのかな.


「抱っこというか…

ぎゅっとするだけだけど,いいの?

ぎゅっとした後は,前と後ろシュシュって

消毒するけど,それでもいい?

お目目つぶっておいてね.」


「うん.出来る.」


「ぎゅってしたら,お家で待っていられる?

お家の人帰ってくるまで出てきちゃ駄目だよ?」


「うん.頑張る.」


「そしたら,いいよ.」

こっちも覚悟を決める.

不審者で通報されるかもしれないし.

洋服が変色したって訴えられるかもしれないし.

この子の学級も感染者が出てるんだから…

今日は,これで私も帰ろう.

何が起こるか分からないけど…


しゃがんで,待ってると,

小さい子がポスっと入ってくる.

小さい手を背中で感じる.

優しく包み込んで抱いてあげた.


どの位か分からないけど,

「お姉ちゃん,ありがと.」

って言われたので,

両手を自分の顔の横に持ってきた.


「目をつぶって.

開けちゃ駄目だよ.

これからシュシュってするよ~.」


「はぁい.」


一応,顔を見ながら,前からシュシュっとする.

「はい,後ろいきま~す.

動かないでね~.」


「はぁい.」


後ろをシュシュっとかけた.


「は~い,おしまい.

大丈夫.

ここから帰られる?」


「うん.」


「何かあったら,今から5日後に,

また,ここいるから.

困った事になったら,おいでね.」


「うんっお姉ちゃん,またね~.」


力一杯手を振りながら,行ってしまった.


はい,私も前と後ろに

シュッシュッシュ~.


私の未来に彼との子はいなかった.

なんて,

そんな事,思ったり思わなかったり.

彼とできちゃった婚…

う~ん.

お互い,慎重だったし.

そんな事にはなれなかった.

考えるだけ無駄だ.


さぁ…

お昼どうしよう.

短時間,無言でお買い物はいいんだよね.

確か,そんな扱いだった.

少し買い込んで籠ろう.

5日間,何しよう.

アルバム整理する?

切り取って…

はいっ面倒~.

眺めるのすら面倒だわ.


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