第2話 血もとっくに絶叫

 先生。みんなハヤテを慕ってそう呼ぶ。

 彼は大人子ども関係なく質問のほとんどにわからないと答えた。考えられる理由も混乱を招くだけだと判断し、ハヤテは沈黙を貫いた。だができることはした。不安にかられる周囲へ、国に連絡をすると伝えた。この地方独特のあたたかい海で採れる魚や果物が悪くなってしまう。自身の魔力の範囲内でできうる対策をしに、町中を駆ける。魔力のある生徒や筋力のあるものも一緒に協力してくれた。


「先生、いつになったらこの雪はおさまるんでしょうか」


「わからない、少し魔石の様子を見てくるよ」


 ハヤテは早口で告げると町の巡回を任せ、炎の魔石の採れる山奥へ向かう。やはり雪深く、彼の体力とこの地方の服装では耐えられず、魔力をかなり駆使してたどり着いた。


「ああ、やっぱり」


 普段は赤赤と、生き生きと燃え続けていてとても近づけない魔石が弱々しい灯火になっていた。魔石を守っている妖精はどこに消えたんだ?


 すぐにこの事実を世界に伝える。空から光が差し、一人の赤魔術師が駆けつけてくれた。


 ギャーっという絶叫が聞こえたのはその時だ。


 声の元へ行くと魔物に襲われているのは妖精だった。普段の炎の魔物はまるで氷像のようで、仲良しだったはずの妖精へ氷のトゲを刺していた。


 赤が白の上に飛び散る。


「燃えよ!!」


 赤魔術師が叫び、火だるまになった魔物。こんなことが目の前で起きているのが信じられない。


 血と炎の赤

 魔物と雪の白

 燃え溶け混ざる

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