女神祭りの土産 ゴーデンにて

「リナさんこれなんて如何でしょう?」


 アナスタシアは白い花を持った女神ちゃんハンカチを手に取った。


「アナスタシアさんこちらは?」


 リナは同じ女神ちゃんの麻袋を取った。

 この地はゴーデン。ゼフェン・プリズマーティッシュ・クルウレンのほぼ中央に位置する大きな街で、建国神話に出てくる虹の女神Irisが最初に降り立った地だと言われている。

 この地にはIrisが最初に創ったとされる泉も湧いていて、町人は水に困ることはなく、全てIrisの加護によるものだと、女神の信仰がどこよりも強い街としても有名だった。

 その街で、つかの間の休息を得ているリナとアナスタシアは二人で見物に出ていた。

 女神祭りの賑わいは凄まじく、出店に見世物にと沢山の人が群がっていた。

 その輪から少し外れた、土産物屋に二人は入った。すると、すぐに見つけたのはIrisをキャラクター化した‘女神ちゃん’のデザインされた商品の数々だった。その中でも二人が気に入ったのが建国王との話がモチーフになっている‘白い花を持った女神ちゃん’だった。


「どちらもかわいいですわね。」

「では、二人でそれぞれ買ってお互いのお土産に致しませんか?」

「それは良いですわ。」

「では、私はアニアさんのハンカチを買わせて頂きますね。」

「では、私はリナさんの麻袋を買わせて頂きます。ジョルジュさんにも何か買っていきましょうか?」

「では、この置物はどうでしょう?ジョルジュさんの机に置いても邪魔にならなそうではないですか?」

「えぇ。良いと思います。あとは…リオ様は恥ずかしがるかもしれませんが、ご本人にも何か買って差し上げたいですわね。」

「そうなんですよね。出来れば身に付けられる物が良いですが、付けては下さらないでしょうし。」


 二人で店内を見回していると、棚の上段部に二人同時に目を留めた。そこには‘白い花を持った女神ちゃん’のぬいぐるみだった。


「あれですね。」

「あれですわね。」

 

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