第5話 狙った獲物は逃がさない
リーンゴーン、リーンゴーン
―ん、なんだ、えーと俺は何をやって...?
俺はなんただが見覚えのない場所に立っていた。ここは教会の前のようだ。
「本庄くん!どうしたのボーッとして?」
後ろから唐突に声をかけられた。
―ん?この声は佐伯さん?
俺は驚いた。
「さ、佐伯さん?その姿は...」
振り向くと佐伯さんが、純白のドレスを着て
俺の顔を心配そうに覗き込んでいた。
「一体どうしたの?本庄くん。」
それから佐伯さんはクスリと笑った。
俺は純白のドレスを着た佐伯さんのあまりの美しさに目がチカチカしていた。
―なんていう美しさだ、す、素敵だ。
「今日は私たちの結婚式でしょ?」
と佐伯さんはいい、俺の手を引っ張る。
「え?け、結婚?」
俺は佐伯さんに引っ張られながら頑張って頭を整理していた。
結婚?俺と...佐伯さんで?
佐伯さんが協会のドアを開けると、そこには俺の家族や佐伯さんの家族と思われる人、また参列者が席に座ってこちらを見ていた。
真ん中には神父が立っている。
俺は佐伯さんに、引っ張られて1番前の壇上に上がった。
「汝本庄 新、病める時も健やかなる時も佐伯 咲を愛し抜くことを誓いますか?」
神父は厳粛な顔でそう言った。
「ち、誓います!」
俺は、内心焦りながらも誓いの言葉を口にした。こんな機会を逃すはずがないだろう。
「では、誓いのキスを」
―き、キス!?佐伯さんと!?
俺は咄嗟に佐伯さんの方を見た。
佐伯さんは頬を赤らめて、次に目をつぶった。
「いつでもキスしていいよ。」
恥ずかしそうに佐伯さんがそう言う。
―え?いいのか?キス、キス?佐伯さんと?しちゃっていいのか?本当に?
いや、男本庄 新ここで男気をみせるぞ。
そして意を決して、佐伯さんの顔に自分の顔を近づける。
パリーン!
物凄い音が教会内に響きわたった。
―は?
協会の天井の付近の窓が勢いよく割れた。
そして現れたのは...
「新!」
そうそれは正しく見覚えのある、銀髪、深紅の瞳...
―なんてこった/(^o^)\
「新と結婚するのはこの私よ!さあ、新!
地球の滅亡を止めるために、私を満足させなさい!」
そういきなり現れたヴァンパイアは、そう言い放った。そして新の腕を引っ張る。
「え、え、おい!」
―嘘!?佐伯さんは!?結婚は!?
パニックになる俺を他所に、そのまま、マリアは上へ飛び、協会の天井から新を引っ張ったまま、飛びたって行く。
「お、おい、嘘だろ―!」
新の叫びも虚しく新はマリアによって上空へと引き離されたのであった。
―――
―ちゃん、おに...ちゃん
なんだか、遠くから声が聞こえてくる。
「もー!お兄ちゃん起きて!」
「おわ!!!!!」
新は飛び起きた。
―え、ここはどこだ、俺はなんだ?
焦りのあまり、状況が読み込めない。
新を起こしたのは妹の結愛だった。
ぷんぷんと怒っている。
―夢?だったてのか?
どうやら新は夢を見ていたらしい。
なんだか、リアルな夢でものすごく汗をかいていた。
「もー、服を間違えて部屋に持ってきたお返しに、日曜日パンケーキ食べに連れてってくれる、て言ったじゃない!」
「あ、そうか、そうだったなあ...」
俺は思い出した、元といえばマリアが妹のパンツやスカートを持ち出し俺の部屋にいおいていったことが問題だったのだが、ヴァンパイアのマリアは妹には見えない。
事情を説明できないので、俺は俺が間違えて部屋に持ってきたことにし、お詫びに妹が行きたいと言っていた街のパンケーキ屋に連れていくと約束した。
「早く支度して!結愛が楽しみにしてたんだからね!」
結愛は行く気満々という感じで、気合が入っていた。
「そ、そうだったなあ」
新は、内心ほっとしながらも、結愛のために支度をすませることにした。
どうやらマリアは今日はいないようだ。
――
「あー、パンケーキ美味しかった!」
―ふう、最近のパンケーキてあんなにボリュームあんのな。驚いた。
新は妹の結愛と、食べ終わったたパンケーキについて考えていた。
結愛が選んだ店は、パンケーキも大きく、生クリームがどかーんとのっていた。
これが女子の食うスイーツかと新は感嘆した。
そして、2人で家に帰ってると、見覚えのある人影が見に止まった。
―ん?あれはもしかして、佐伯さんじゃないか?
どうやら、オシャレな格好をした佐伯さんがとあるビルに入っていくのが見えた。
なんのビルかは分からなかった。
―も、もしかして、誰かとデート?あんなにオシャレな格好してたし...い、いや違うかもしれないだろ!
新は心の中で葛藤しながら、結愛と共に家に帰った。
―――
― 一族にさきはない。愛のないものはいつしか滅びる。
ヴァンパイアの祖先が遺した言葉だ。
マリアは、新の部屋で1人考え事をしていた。
―愛のないものはいつしか滅びる、か...わたしだってわかっているわ。でも愛がなにかなんて...
マリアはヴァンパイアだ、ヴァンパイアの星では愛がなくても子孫を残すことが出来る。よって、マリアは愛というものがよく分からない。
しかし、実際にヴァンパイアの人数はへり、子孫の残した言葉はこのとおりだ。
ヴァンパイアの一族はおそらくこのままでは生きていけないだろう。
マリアにとって人間とは豊かな感情を持った生き物であり、マリアの興味を引いてやまないものであった。
ヴァンパイアの祖先は何度か地球と自分たちの星を行き来している。
きっとマリアと同じく人間に惹かれていたのだろう。
ピキン。その時マリアの頭が何かを感じ取った。
―誰かが魔力を使ったわね、おそらく星降らしの一族の...
ヴァンパイアには、魔力を持ったものを感知できるという特性がある。それだけでなく、いつ魔力が発動したかも感じることが出来るのだ。
「星が降ってくるまであと95日、あまり時間はないわ。」
窓の外に新と妹の結愛が帰ってくるのが見えた。
「覚悟しなさい、新。」
マリアは新を窓から見下ろしながら、そう一声放った。
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