57話 逃げは恥ではない
「うん....よし!もう大丈夫。絶対に迷わない!」
あれから時間のない空間の為私の体感時間ではあるのだが数時間が過ぎた。
そとであれだけの騒動を起こしてしまっていたので、少しこの後どうするかというのをまとめるのに時間がかかってしまったのだ。
本当ならアンゲロスも呼んで決めるべきなんだろうけど、今は少し1人でいたい気分だった。だからこそ、アンゲロスの反応も含めて計算しないといけないという状況になっていたので時間がかかってしまったというわけである。
「あいつを滅ぼす。過去に決着をつける」
正直に言うと過去との因縁という話は今まで半信半疑だった。
しかし、本格的に過去に決着をつけないといけないかもしれない。
直感でそんな気がする。普通の私ならばそんな非論理的な事を信じる筈がない。いや、今の性格ならば違うかもしれないが本当の性格では信じる筈がないのだ。
しかし今回は勝手が全く違った。性格云々の話以前に、本能レベルで過去に決着をつけるべきだと話している。
「まぁ、今気にしても仕方がないし、アンゲロスに合流しないとね」
この空間がいくら時間の概念がないと言っても、そのの時間が進んでいないとはいっても私の体感ではかなりの時間考えているので流石にアンゲロスに合流しないと。そう思ってしまう。
実際は全く経っていないと言う事になっているからそこまで急ぐ必要なsどないのだが、色々と相談したい事が出来てしまったのでかなり急いでいるというわけである。
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「っと、やっぱりこうですよね....」
無の空間を出ると私がやってしまったことなので本当に今更なのだが中世ヨーロッパ風の街並みは見るも無残な姿になっており、正直暮らせる気がしない。直せば何とかなるのかもしれないが私が派手に暴れてしまったせいでそんな簡単に直せないくらいに崩れてしまっているのでそう簡単に直せないだろう。
これをやってしまったのは本当に私のせいであるのでどうにかして復興を手伝えないだろうか?まぁ、そういうのを含めてアンゲロスに相談すればいいと思うし、今回は私も真面目に考えるので一応は大丈夫だろう。
「レイス様、リーラ様、リーフ様。大丈夫ですか?」
未だに唖然としてしまっているお父様とお母様。そしてそんな2人をどうするか迷っているお姉様。
客観的に見るとかなり面白いことになってしまっているのだが、それは今気にするようなことではない。今は、そんなことよりも圧倒的に大事な事がある。だからこそいつもは食いついているような面白い状況も無視をする。
「は、はい....こっちは大丈夫ですが....」
そこまで言うお姉様なのだが、少し言い淀んでいるような気がする。
しかし、無の空間で過ごした時間は本人以外にはなかったことになるのでお姉様....というか私以外から見れば、男を連れて何処かに行って一瞬のうちに戻ってきたという認識になっているはずだ。そんな状況は気になるのが当たり前だと思うので言い淀んでいるところに入る言葉を想像するのはかなり容易である。
「まぁ、私だけの特別な魔法....ってなところですかね?」
「私なにも言ってませんよね!?」
容易に想像する事が出来てしまったので、お姉様が言い淀んだ質問の内容に答えたのだがそういえば質問自体はされていなかったのでまぁ、不自然と言えば不自然である。
とはいうものの、普通に誰でも予想できると思うのでそこまで不自然ではないと思うのだが....
「普通に予想できると思うし、そんなに驚くことですか?」
「あ、いや。普通はわからないことだと思うよ?」
正直聞かなくてもいいような質問なのだがそこはまぁ、気になってしまったという理由だけである。
ハッキリ言うと無価値な質問なので答えを求めてなどはいないのだが、律儀なお姉様は私の無価値な質問にも答えてくれた。と言っても素の感じが出てしまっているのでよほど驚いていると言う事だろう。
というか私としては質問の返答の方が驚きである。このくらい普通に考えればすぐにわかると思うのだが....
「そうなんですね」
そう言った私なのだが、心の中では少し納得がいっていない。
アンゲロスとかならばこの程度の事をすぐにわかると思うので、本当にどういう意味なのか理解する事が出来ない。
そこらへんは、私の感覚がまたずれているのかもしれないので教えると言う事は無いから私が納得をしていないという風に考えてくれればそれでいい。
「そしたら後始末はアンゲロスに任せますので宿泊予定の場所にまで向かいますか?」
この惨状だと観光どころではないと思うので宿泊場所まで戻るように勧める私。
もしかしたら私のせいで宿泊場所が壊れてしまっているかもしれないがそこはきっと気にしたら負けである。気にしないでも壊れてしまっていたら私の負けだとは思うけど....
「宿泊施設壊れてないといいですけどね....」
つい不安になってそんなことを呟いていしまったが、まぁ、大丈夫だろう。
ここでネガティブな事を考えていても特に意味などないのでここは壊れていないというポジティブな思考でいた方がいいと思う。
「アハハ....まぁ、この様子だと恐らく壊れていると思いますけどね....」
そんな呟きに反応したお姉様なのだが、その顔は苦笑いをしていた。
苦笑いしてしまうその気持ちは客観的に見れば理解することができるので、まぁ仕方のない事なのだろうか?
「まぁでも、お父様とお母様はまだこっちに戻ってこれなさそうですしもう行くのもありですね」
お父様とお母様はいまだに現実を視れていない様子なので、ここで2人を連れて行くという手段は普通にありな選択肢である。
私とお姉様はお父様達を連れて逃げるに用に宿泊予定の場所へと向かっていくのだった....
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