55話 リースの拷問

「遅れて申し訳ありません」


「大丈夫。ちょうど今終わったところだし後始末お願いね」


 丁度すべてが終わった瞬間というナイスタイミングにアンゲロスが私の元に来たためアンゲロスに後始末の全てを任せることにする。最近は色々な事でアンゲロスを使いすぎなような気もしないのだが本人が嬉々としてやってくれている為心配は無用だろう。

 それに私としてもアンゲロスに頼りっきりなので何か変な事を言って離れられると言う事だけは何としてでも阻止したいことなので変なことなどは言わない。


「わかりました。死体の方から記憶は奪いますか?それと記憶強制奪取メモリースティールの方は....」


「お願いね。勿論私から頼んだことだし記憶強制奪取メモリースティールを使ってもいいわよ?」


 記憶強制奪取メモリースティールを使えば対象者はかなりの惨劇に見舞われているのだが今回はすでに死んでしまっている。すでに死んでいる存在に掛ける慈悲など私には存在しないので記憶強制奪取メモリースティールの許可を出した。

 ってか、基本的に死んでいる状態だと記憶強制奪取メモリースティールを使っていいことにしているのに何故私に確認をしたのだろうか?


「ありがとうございます」


 まぁ、そんなことを気にしても仕方がないし、既にアンゲロスの方も動いているので今更聞こうにも聞けない状況になってしまっている。

 というかそんなことを気にしてても仕方がないので気にしたら負けなのは確実である。


「あのぉ....今のは...?」


「私の家族であるアンゲロスですね」


 私は姉妹のように育ったアンゲロスの事を家族と見ている。これは事実であるので隠す意味どない。故に話す。

 まぁ、アンゲロスが私の事をどう思っているのか知らないが少なくとも私が他の配下とは別で特別に見ていると思ってくれればそれでいいのだ。


「家族ですか....?髪色などは違うようですが....」


「よく言われますよ。アンゲロスとは血のつながっていない家族なんですよね」


 これもまた嘘ではない。

 姉妹のように育っただけで私達には直接的な血縁関係があるわけではないので、これも言い訳などではなく事実である。まぁ、だからと言って何だという話なのだが...


「そうなんですね....それと、死体の方は.....」


「それはアンゲロスに任せていれば大丈夫ですよ」


 お姉様は死体の心配をしているみたいだが、そこはアンゲロスに任せれば大丈夫である。私が使用を許可した記憶強制奪取メモリースティールは確実に成功する代わりに対象の身体が消滅するという副作用的な何かがあるので死体の処理に関しては何も問題はない。

 むしろ今心配するべきは甘美なる絶望世界ディスペアー・ワールドに閉じ込めた人物の安否である。

 そっちに閉じ込めた方は死んではいないものだと思う。というか直接的に情報を聞き出すために死なない威力にまで抑えているので死なれていては困る。


「それと、後ろの2人が気絶してしまっているのですが大丈夫なんですか?」


「あっ、お父様?!それにお母様も!」


 おそらく私の破壊活動に気を失ってしまったと思われるお父様とお母様の姿があった。

 いや、破壊活動ではなく私が動いた時に生じていた衝撃波の方で気絶してしまったという可能性の方が私的には高いのだがそれは本当に些細な問題でしかないのでどうでもいいだろう。


「そしたら私はアンゲロスに任せている以外にも後始末がありますので少し離れますね」


 本当ならば離れたくないのだがそれでもお姉様がお父様達が気絶していて驚いている今のうちに離れていくのが最善の策。そう考えたわ私は何をするかなど詳しいことを伝えることなくすぐさまその場を離れる。

 一応私の結界を3人に張っているので少しの間離れることは問題ないと思う。

 できれば離れたくないというのも本音なのだがそれ以上に今回私達を狙ってきた奴が誰なのかと言う事を知りたい。これを知る事が出来なければ再び同じような事が起こってしまう可能性が高いので情報収集は大事なのである。

 そして私が甘美なる絶望世界ディスペアー・ワールドの中に閉じ込めたのは襲撃者の中で一番強い....すなわちリーダーだと思われる人物であるのである程度の情報が手に入る事だろう。というか情報が手に入らなければ甘美なる絶望世界ディスペアー・ワールドの中に閉じ込めた意味が無くなってしまうので本当に情報が手に入ってほしい物である。


『そっちはどうかしら?』


『私の方はある程度情報を奪う事が出来たのですが....この後はどうしますか?』


 アンゲロスの方に通話を入れるとこの短時間ですでに作業を終わらせているようである。

 まさに有能。私の事を慕ってくれていることが疑問に思うほど有能なのだがそれは自虐になってしまうし私もそんなことを考えたくないのですぐに思考を切り替える。

 一先ずアンゲロスの方が終わっていると言う事はアンゲロスをお姉様たちの護衛に回して私の方はゆっくりと情報収集が出来ると言う事になる。というかかなり情報収集に時間をかけるつもりでいたのでこんなにも早く終わらせてくれたのは本当に嬉しい誤算である。


『そしたらお姉様たちの護衛をして頂戴。私はこれから拷問をするから外部との通信はできないと思ってね』


『畏まりました』


 どんなに無茶だと思うようなことでも必ずの様に成し遂げてくれるアンゲロスからすれば今回の命令は簡単の一言であると思うのでこれで私も心置きなく拷問が出来るというものである。

 私自身は拷問は好きじゃないのだがこれも仕方のない事である。そう割り切ると心がとても楽になってくる。

 これから私の拷問の始まりである。

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