54話 怒り

「チッ、街路樹が邪魔ね」


 現世の斬撃である程度の街路樹と草は無くなったのだがそれでもやはり邪魔なものは邪魔である。街路樹の影に隠れて行動をされているのだ。勿論その攻撃で隠れていた1人は死んだのだが、他にも何人かが街路樹に隠れていたのだ。

 一瞬ここら辺一帯を焼け野原に変えてやろうと思ったのだがそれは迷惑がかかるし、そんなことしたら絶対に大変なことになるのでそれはしたくない。となると現実的に取れる手はかなり限られてしまう。


「創作魔法:想像計算ファンタシア


 創作魔法である『想像計算ファンタシア』で現実的に取れる手段を組み立てて高速でシュミレーションを行う。

 想像計算ファンタシアとは脳内で今の状況に対する最善の策を高速シュミレーションするために今創った創作魔法である。今創ったばかりなのでどんな制度かわからなかったのだが、かなりの精度で条件を指定した未来を視る事が出来るので作ってよかったと思う。


「これが一番最良かな?」


 そう呟いた瞬間、私の無限の魔力を解放する。しかしただ闇雲に解放したわけではなく、魔力を襲撃者のいる方向、その一点だけに向ける。これにより周りに被害を一切出すことなく攻撃が可能というでたらめな事をする。

 これに関しては私もおかしいことをやっている自覚を持っているので本当にヤバい事をやっている。魔力とはこの世界の全ての物質に存在する『情報粒子』という最小物質の集合体であるため本来ならば一点に向けて放出することは不可能である。

 しかし情報粒子を視認することのできる特別な眼を持っている私ならばそんなでたらめな事をすることが可能だ。そして私の魔力をくらえば大抵の存在は倒れるのでこれ、結構いい攻撃方法なのだ。


「え....?今何を...?!」


 お姉様は何が起きたのか理解できていない様子である。

 当然だろう。私の行動は魔力を認識できないと理解することが不可能となっているのでお姉様が理解できていないのは当然である。むしろこの状態でなんとなく察せているような感じのお姉様の方が異常なくらいだ。

 まぁ、そんなことは置いといて魔力のおかげで変な被害を出さずに1人無力化できたのでこの調子で残り数人を現世と幽世を使わないで無力化できれば....と思ったのだがそこでふと思いだす。私既に現世使ってるじゃん....と。


「あれ?これもう現世と幽世使ってもいいのかな....?」


 魔法に関しては既に自重などしないと決めているのだがそれでも街を壊してしまうような大規模破壊魔法などは使えないので現状使える魔法はかなり限られていた。それでもだいぶ楽になっていることは確かなのだが、大規模破壊魔法が使えないからかなりめんどくさい状況になっている。

 しかしすでに使ってしまっている現世を解放すれば?言わずもがな一瞬でこの襲撃をどうにかする事が出来るのは確定だ。それはかなりの騒動に発展するリスクも同時に背負っているのだがまぁ、アンゲロスがどうにかしてくれるだろう。

 そんな丸投げ思考に変わった私を止めることはもうできない。現世と幽世を持つ手の力を少し強める。


「リーフ様はここでレイス様とリーラ様を守っていてくださいね!」


 そう言った瞬間に私は音速を凌駕する速度で私達の事を狙っていた馬鹿共に向かう。

 普通ならこの速度で動くと身体が耐えなくなるのだがこの世界には魔法があり魔法で身体の事を保護する。そして魔法で思考能力も上がっているのでこちらもどうにかする事が出来る。

 本当に魔法とは便利である。それこそ地球にもほしかったくらいには便利である....


終焉世界エンド・オブ・ザ・ワールド


 まずは1人目を移動する流れで終わりのない滅びの世界に閉じ込める。

 これは意思の力で終焉世界エンド・オブ・ザ・ワールドに込められた力を上回らないといけないのだがそんなこと今の人間に不可能なのでこれで1人を一瞬のうちに無力化する。

 そのままの速度で私は向こうの世界から持ってこられた銃と思わしき物で狙撃しようそしている男の後ろにまで回る。


「これで2人目」


 男が振り向く間もなく私はその首を刎ねる。

 そのせいで少し返り血を浴びてしまったのだが今は関係ない。

 私の大事な家族が死なないように全力でこの襲撃を終わらせることが第一目標。そのためにならば返り血など本当に些細な問題なのである。


「死ね!!」


 次の場所に移動しようとした瞬間後ろから私に向けて攻撃をする男がいきなり現れた。

 おそらく気配を隠蔽しているつもりだったのだろうが今の私にはすべてが見えている状態なのですぐに後ろを向いて腹に拳をめり込む。

 それだけで骨が砕け散る音が聞こえてきたのだが念には念を入れて、血液を一瞬のうちに爆発する物質に変えて、体内から爆発させる。文字通りに爆発したので勿論その身体は残っていない。

 それに満足した私は、現世と幽世を一度しまう。


「来なさい。虚無ラグナロク


 現世と幽世をしまった瞬間にそう呟くと、空間が歪んで虚無ラグナロクが私の手元に来る。

 これは既に魔法で色々と大変なことになってしまっている町をこれ以上壊さないための判断である。まぁ、虚無ラグナロクでもかなりヤバいことになるのは確実何だろうけど....


「残り1人」


 虚無ラグナロクを持った瞬間にそれを無造作に一閃すると残り2人の内の1人が死ぬ。これで残り1人になったのだが虚無ラグナロクの攻撃で案の定色々と壊してしまった。

 これでは現世と幽世から虚無ラグナロクに持ち替えた意味が無いかと思うがそれを承知で持ち替えたので後悔するのは今更だろう。今はただ残り1人を殺すだけである。


「それじゃあ、サヨウナラ」


「はっ?」


 残り1人とはそこそこ距離がは荒れていたのだが私にとってはその程度の距離など関係ないに等しいので一瞬のうちに距離を詰めてそいつを殺す。

 これで私の方は完全に終わったので後はアンゲロスを待つだけである。そう思いながらお姉様たちがいる場所にまで戻ったのだが、そこでふと思い出す。

 あ、これ今回やりすぎちゃったかも........と。

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