46話 授業は簡単?

「うーん....これは...」


 魔法訓練所についてそこで丁度良く生徒が授業をしており、見学ができた。ここまではいいのだ。しかし問題なのはその授業の内容であり....


「次!」


「はい!集う母なる炎の魔力よ、我が力となり敵を穿て『火炎槍フレア・ランス』!」


 まず大前提として魔法が弱すぎるのだ....アーゼさんでもこのレベルの魔法は出さないのでは?というレベルで弱すぎる。

 そしてそれは教師も同じであり、何故かこんなレベルの低い魔法で満足しているのだ。意味が分からない。このレベルで満足しているといつ痛い目を見るような気が....いや、そうか。そもそもこの時代の魔法のレベルそのものが落ちているのか....


『まさかここまで魔法のレベルが落ちているなんて....』


 あまりの酷い子の惨状に驚いて咄嗟に出てしまった言葉なのだがそれでも私の本能?が聞かれたら割とまずいこの言葉を他人に聞かれないために魔族語で話すことに成功した。

 人間でも練習をすれば魔族語を話すことはできるのだがこの時代で魔族意外に魔族語を話せる人物を見たことがない。故に大丈夫だろうという判断である。


『そうですかね?私が情報を集めていた中ではこのような感じでしたよ?』


『そしたらその情報を私に頂戴って話なのよ....』


 アンゲロスはどうやらここのレベルがこんなに低いと言う事を知っていたらしい。しかし私がその情報を調べろとも教えろと言ったわけではないのでアンゲロスが私の報告していないのは仕方がないの一言である。

 むしろ報告してくれたらその場合は唯単純にアンゲロスがとても有能と言う事になるだけだ。


『すみません....』


『いやいいのよ。私が言っていなかったのが問題だしね』


 自主的に調べていた情報なので私に報告する必要は確かにないのだ。これは完全に私の落ち度であるのでアンゲロスが謝る必要などないのだ。

 実際にこの情報は私が見ても一瞬でわかる情報なのでわざわざ報告する必要などはない。だからこそ報告をしなかったのだろう。実際私なら報告しないような情報しかないわけであるし....


『それでどうします?私も改めてみるとこのレベルまで魔力を抑え込むのは至難の業なのですが....』


『やっぱり頑張るしかないのかな?まぁ一応私は魔力制御のレベル∞を創れるから大丈夫だけどハクオウ大丈夫かな?』


 ハクオウは確かに剣術メインなのだがそれでも悪魔公デーモンロードという魔法にたけている種族だけあり、その魔力もかなり多くなっている。

 私の場合は魔力制御LV.∞というスキルを持っているので割とどうとでもなるのだがハクオウがそんなスキルを持っているとは到底思えない。というか前に見た時は魔力制御LV.Ⅹだったのでこのレベルまで落とすのは無理だろう。

 まぁ、LV.Ⅺに超越させる事が出来るのは本当に一握りの存在であり、アンゲロスですら超越の兆候が見えるだけでまで出来てはいない。私が知っている中でLV.Ⅺに超越できたのは1人だけであり、その人物だって英雄と呼ばれる人間の枠組みを超えている人間だ。

 と、話はそれたが人間にしろ魔族にしろその枠組みを超えないとLV.Ⅺになることは不可能である。しかしLV.Ⅺ以上ではないと制御できない魔力を持っている存在がいる....というのが現実である。


『一応大丈夫だとは思いますよ?ハクオウは剣術メインですので魔法を使う機会はあまりないと思いますよ』


『ま、それもそうだよね。それにバレたらバレた時考えれば大丈夫かな?』


 これから起こるかどうかわからないことを今考えていても仕方がない。それにもう少し魔法を見ておきたいのでこの話をこれ以上続けるのはやめておくことにした。


「次!」


「ふっ、この俺様の魔法を見るがいい!風よ舞え、嵐となり全てを薙ぎ払え『破滅の嵐ウィンド・ストーム』!」


 厨二病的な詠唱に、効果は弱いのに無駄にカッコいい名前の魔法。まるでゲームなのか?と思ってしまうほどテンプレ的な魔法にもう何が何だか分からなくなってしまう。

 少なくとも私の創作魔法や昔の魔法はゲーム的な要素など皆無だったのだが今の時代は効果よりもどちらかというとエフェクトが派手になっているので一瞬ゲームと見間違えたほどである。


『.....これ、私とハクオウが入学したらかなりヤバいことになるよね?』


『かなり、で済むといいですけどね....』


 私が話しかけるとアンゲロスも私と同じような事を考えているみたいなので一応安心することはできた。この調子だと剣の方も同じくらいに落ちてしまっていると予想が容易にする事が出来る。

 2つともできる私と剣の腕に関しては私に近づく腕があるハクオウ。そんな私とハクオウがこんな学園に入ってしまえば色々な問題が怒ってしまうのは確実な話である。


『こうなったらいっそのこと封印アイテム作ろうかな...』


 今までは必要が無かった私の力を封印するための封印アイテム。作ろうと思えば創る事が出来るのでそろそろ作ろうかと本気で悩んでしまっている。

 ハクオウがどうか、それは知らないのだがそれでも私に必要と言う事はこの短時間で理解する事が出来たのでここは作っておいた方が無難であるだろう。

 と、そんなことを考えるのだった....

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