44話 学園を見学

「と言う事で最高の見学日和!」


「見学日和って何ですか?」


 なんとなくで思い浮かんだ単語をつい口走ってしまったのだがそれはすかさずアンゲロスにツッコミを入れられてしまう。まぁ、見学日和とか私でも意味が分からないので当然の反応だと思う。

 要するに晴れていると考えればそれでいいのだ。


「丁度いい天気ってこと。2人とも身分証とかって持っていたっけ?」


 すっかり忘れていたのだがアンゲロスとハクオウは身分証を持っていないのだ。これは完全に私のミスなので持っていなかったら私がどうにかするつもりである。

 まぁ、アンゲロスの事だし持っている可能性が.....


「はい。前に冒険者ギルドの方で用意してもらいました」


「俺も同じです」


 あ、そういえばそんなことあったっけ....となってしまうほど前に身分証をペインさんが作っていた気がするので私の心配は杞憂だったようだ。

 まぁ本当に覚えていなかったのだが....


「そしたらもういけるし行っちゃう?」


「そうですね。なるべく早めに行った方がいいかもしれませんね」


 時間はあまりどうでもいいのだが、早い方が何かと都合がいい気がするので早めに向かうことにした。

 今日に限っては私もすでに諸々の準備は終わっているのですぐに行ける準備が整っていたのだ。だから私はもう行く事が出来る。

 そしてそれは私よりも真面目な2人にとっては当たり前の話であり、時間も丁度いい位なので学園に行く事にした。


「因みに転移で行けるけど....?」


「少しは自重しましょうね?」


「アッ、ハイ」


 転移で言えるには行けるのだがそのことをアンゲロスに伝えると自重してくださいと泣いているような表情で言われたので流石に転移するのはやめておいた。本当に解せないけど....


────────────────────


「というわけで着きました!」


 宿を出てから30分ほど。今の私達の目の前には馬鹿でかい学園がそびえたっている。

 どのくらい大きいのはわからないのだが少なくとも日本の学校より大きいというのは確かである。

 要するに王都にあるこの学園滅茶苦茶大きいのだ。それこそこんなに大きくするだけ無駄では?と思ってしまうほどには大きすぎる.....


「身分証の提示をお願いします」


「わかりました」


 学園の受付では案の定書類などを書く必要はなく身分証を提示するだけで済んだ。

 一見セキュリティがガバガバかもしれないがこの世界には魔法がある。魔法によってセキュリティが一見するとガバガバでも強固なものになっている...と言う事が多々あるのだ。


「リース様にアンゲロス様、ハクオウ様ですね?身分証の提示ありがとうございます」


 当たり前の事なのだが今回の世界では犯罪など犯していないのですぐに入る事が出来た。

 身分証は犯罪歴なども記録されるため本当に便利な道具である。


「そしたらどこから行きますか?」


「うーん....私は特に詳しいこと決めていないしボチボチ色々なところ巡ろうかな?」


 暇つぶしできたがゆえに私は特に行きたい場所があるわけではない。ハクオウは恐らく行きたい場所があるみたいでありさっきからそわそわしているのだが私は本当に行きたい場所などないのだ。

 強いていうならばお姉様に会いたくない、これだけである。私としてはこれさえなければ普通にそれでいいのだ。

 今までの傾向からして私んそんな願いが叶うとは到底思えないのだが....。


「ま、ハクオウはどこか行きたい場所があるみたいだし私とアンゲロスでボチボチ行きましょ?」


「俺としてもそうしてくれるとありがたいです」


 ハクオウも1人で何処かに行きたいみたいであるしこれでいいだろう。尤も今更何かを言われても変える気などそうそうないのだが....


「それでは俺はいってきます」


 そう考えているうちにハクオウは高速で何処かに行ってしまい、既にその姿は残っていなかった。

 私も行きたい場所がないとはいえ時間をあまり無駄にはしたくないので私も動くことにする。


「それじゃあ私も行きますか....」


 これから楽しい楽しい見学の始まりである!

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