39話 王都のギルド
「その年でAランクなんですか?!」
「アハハハ.....」
ギルドの中に入りギルドカードを受け付けの人に見せて何か依頼を受けようかなと考えたのだが案の定というべきか驚かれてしまった。この年でAランクは早々いないみたいだし当然の反応と言えば当然の反応なのだろう。私だってなんとなく理解していたし...
私の年齢でAランク...というかSランクになった人物はいないのでそれだけで物凄く珍しいのだ。だから私の予想...というかテンプレ通りならば....
「おうおうおう、そんな餓鬼がAランクだって?なんだ?ギルドは不正を認めるのか?」
出ましたね異世界ラノベテンプレの冒険者が絡んでくるシーン。小説として見ているだけなら何とも思わないのだがいざ自分で体験してみると本当にイラつくものである。
正直に言うと魔法を撃ちかけてしまった。だってこいつら気持ち悪いし仕方ないと思う。
「あなたは...?」
魔法を撃ちたくなった怒りを理性で押さえて何とか話せる状況にまでもっていく。
少なくとも今気を抜いてしまえばここら辺一帯を焦土にしてしまう可能性が高い....それは私としても本意ではないので必死になって魔法の発動をしないように抑える。
しかしそんな内面の問題を他人が理解できるはずがなく....
「俺はBランクの最強冒険者のアーノルド様だ!」
自分で自分の事を様付けしている奴は初めて見るのだが絶対にそんな奴に碌なのはいない。
そもそもBランクな時点で最強ではないしアーゼさんに比べると圧倒的に劣っている。すなわち私やアンゲロスにとっては格下の存在となっている。
「またアルノードさんですか...」
受付の人も苦い顔をしているので恐らく常習犯か何か何だろう。
そして今回子供みたいな体系をしている私に目を付けた...と言う事だろうか?それだった場合私はこいつを絶対に許さない。
確かに私は140cmと小柄だ。しかし年齢はもう18歳になっているし胸だって断崖絶壁ではない.....はずだ。だからこそ子ども扱いされる意味が私には全くを持ってわからない。
「はぁ...私は私の実力でこのランクになったのでどっか行ってくれませんか?私は依頼を受けたいだけなのであなたは邪魔なんですよ」
素直に聞いてくれるとは思わないが私はストレートにそう伝えることにした。
私の言う事を聞いてどいてくれればそれでいいし、挑発を受け取って起こってくれてもいい。まぁ、私としては前者の方が圧倒的にいいのだがこういう人物の場合は...
「ほう、このアルノード様を邪魔扱いするか」「よかろう貴様を殺してやる!」
血走ったような目で私の事を見てくるアルノードやら。やはり自分の事を様付けするような馬鹿は自分のプライドが無駄に高いらしく私のちょっとした言葉に過剰反応して私の事を殺すと言ってきた。
しかし私よりも拍車と言う事をわかりきっている私は恐怖することなどない。むしろこの場にアンゲロスが居なくてよかった....と、別の事を考える余裕すらも持っている。
「よかろう貴様を殺してやる!」
「殺す、ね。本当に人を殺したことは無い癖によく言えるわね」
こいつが殺すという言葉を言った瞬間に私は、自分でもわかるほど私の心は変化する。
この時代の人物を何人鑑定したことはあるのだが人を殺したことがあるやつは1人もいない。そして人を殺したことを無いのは目の前の奴も同じである。
本当に殺したこともないのに軽々しくその言葉を使う馬鹿。私はそんな奴を許す事が出来ない。少なくとも本当に殺したことのある私から見ればこんな軽々しく使うべき言葉ではないと思う。
「いいわ見せてあげるわよ、私の力を」
気分が180度回転した。本当ならしたくないのだがこういう奴は許す事が出来ない。
こいつに現実を見せてやる。これ以上馬鹿な発言をさせないためにも。
「ふん。威勢だけはいいようだが果たしてそれはいつまで続くか、楽しみだな」
いきなり変化した私の態度に周りは怖気ついて中には気絶してしまっている者までいるのだがこいつは本当に馬鹿なのかそんな様子はない。なのかではなくこれと言って強いスキルやステータスを持っていないので本当に馬鹿なのだろう。
Bランクがどうか知らないのだがこいつは弱すぎる。それこそ私が軽く小突いただけでも死ぬようなステータスをしているのだがそれでも私を見下す様子は変わらない。
普通ならば私の僅かな魔力で異変に気付いて実力差を理解できる頃なのだがこいつは一切そんな様子はない。寧ろ私が武器を抜かないことで余計に舐めている様子を深めている。
「はっ、どうやら口ほどにもなく俺様に怖気ついたようだな」
わかっているとは思うが私は別にこんな奴に怖気ついたわけではない。こいつは考えていないのだがここはあくまでもギルドの中なので依頼しに来た一般人などもいる。
そう言った人に余計な被害を出さないためにもなるべき室内での戦闘を控えたいと思っているからこそあえて武器を構えていないだけである。というか被害を考えなくていいならば今すぐに
「誰があんたみたいなやつに怖気つく必要があるのかしら?」
しかしこのまま勘違いされるのは面白くないので私はさらにこいつを挑発する。
普通なら乗ってくることなどない小学生みたいな挑発なのだが....
「あ゛ぁ゛?」
こいつはよっぽど煽り耐性が無いらしく滅茶苦茶簡単な挑発にも乗ってきた。
正直に言うと戦う価値など無に等しいのだがそれでも絶対に私が許容できないことをこいつは言ったので戦う事を止める気などはさらさらない。
それはこいつに対する私からの地獄の時間が始まると言う事を意味しているのだがそんなことを知らないこいつは私の事を憎悪の詰まった目で見ている。
こういう時は本当に無知は厄介で滑稽だと思う私であった....
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