37話 翌日

「リース様、起きてくだ...あ、もう起きているんですね」


「流石に毎日寝坊するわけではない....はず」


 あまり自信が持てないが私だってそう毎日寝坊するわけではない....はず。うん、ここ一か月くらい寝坊しているけど多分きっと恐らくメイビー毎日寝坊なんてするはずがない....。

 それに今日はちゃんと時間よりも前に起きているので毎日寝坊というわけではない。うん、きっとそうに違いない。


「はいはい。心の中で何を思っているのかは知りませんが食堂に向かいますよ」


「それは絶対にわかっている奴でしょ....」


 確実にアンゲロスの口ぶりから私がどんなことを考えているのかわかっていると思うのだがまぁ、今はいいだろう。それに私だってアンゲロスの考えていることは大抵わかるのでお互い様というところだ。

 これぞ長年の付き合いがあるからこそなせる業である。


「どうでしょうかね?言えることはリース様が食べ終えた後すぐに出発しますので急ぎ目に食べてくださいね?」


 私と話しながらも部屋を綺麗にしてくれるアンゲロス。うん、まさに有能の鏡だ。

 私ならばそんな気遣いなどできないし本当に凄いと思うし本当に頼れる女性だなーとつくづく実感する。

 これで私への好意がもう少しましだったらよかったのに....


「ありがと。でももう軽く済ませているから大丈夫よ」


 どうしても昨日の一軒がありたとえ記憶消去レーテーを使っていたとしtれもあまり食堂を利用して他者に見られたくない私は既に食事を済ませている。

 記憶消去レーテーでの記憶操作は完璧に施されているのだがなんとなくいやという理由で使用をしていない。要するに気持ちの問題だ。


「そういうことでしたら着替えて馬車の方に向かってくださいますか?」


 今日早めに起きていたのだが色々と漁っていたせいでいつもと同じ時間になってしまっていたらしい。その証拠とは何だが既にハクオウは馬車に乗っているとのことだ。これに関してはハクオウが早いだけな気がするのだが....


「気のせいです。リース様が遅いだけですよ?」


「アハハ。デスヨネー」


 一瞬そんな考えが頭によぎったのだがそれは直ぐにアンゲロスから否定されてしないのだろう。実際に今の時間は8時とまあまあ遅い時間でもあるので否定する材料が今の私にはない。

 

「そんなこと言っている暇があるのなら手を動かしてくださいよ、手を」


 既に綺麗になっている私が泊まっていた部屋。本当にアンゲロスは仕事が早すぎる...何故私と話しているのにすぐ終わらせる事が出来るのだろうか?

 まぁ、並行で物事を行うこと自体は並行思考タフトクロノ・スケプシで私も出来るのだがアンゲロスはそういうのをできなかったはずなので本当に凄いと思う。


「別に着替えなんて一瞬で終わるからそこまで言わなくていいでしょ....」


 私が普段来ているのは私お手製のパーカーの為すぐに着替えを終わらせる事が出来る。だからここまでアンゲロスに言われる理由などないと思うのだが....


「元から遅れているので当然ですよ」


 すぐさま正論で変えされてしまった。遅れている私が全面的に悪いのでこればかりは仕方がないのだろう。

 要するに私が寝坊しない、もしくは早めに着替えを終わらせていればすぐに終わった問題だったから....


「創作魔法:『魔装変換アポードシィ』」


 パーカーにはすぐに着替えれるのだがめんどくさくなってしまったためその場で『魔装変換アポードシィ』という魔法を創り出してパーカーに着替えた。

 こういう時にすぐ魔法を創れるから無限の魔力と魔法創作は便利である。使い方を間違っているような気がしてたまらないのだが....


「また新しい魔法ですか....?本当に色々と無駄遣いな気がしますよ...」


 魔法創作の使い方を間違っている気がするのは私だけでは無くアンゲロスも同じらしい。

 まぁ、こんな希少なスキルを着替えるために使っているのは確実に間違っているのだろう。いつもの事なのだがそれでも色々とやりすぎているのは私も感じているのでこれから少し自重しようかなと考える。自重できるかどうかわからないけど....


「私が便利になればそれでいいのよ!」


 これは紛れもない私の本音である。魔法創作を私が覚えたのだって暮らしを便利にしたいからという理由だからこのスキルをこういうことに使うのは間違いではない...と思う。

 いや、手に入れた理由から見れば間違いではないのかもしれないがそんなの他人にわかるわけがないので間違っているのだろうが....


「またそれですか....まぁ、スキルの持ち主であるリース様がそう思うのであればそれでいいですよ...」


 アンゲロスも渋々という感じなのだが納得は一応してくれているみたいなので問題は特にないだろう。

 私の暮らしが便利になって他人に迷惑をかけなければそれでいい。それが一応私が魔法創作で魔法を創るにあたって決めていることなのでよっぽどのことがない限り他人に迷惑がかかることは無い。まぁ、相手が悪い場合は勿論創作魔法で対処はするのだが...


「迷惑をかけなければそれでいいでしょ?」


「まぁ、それはそうですね!」


 アンゲロスも私の言い分に今度こそ心の底から納得してくれたみたいなので大丈夫だろう。

 そんなことを考えながら部屋の最終確認をし、一度背伸びをすると私は馬車にまで向かうのだった....

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