31話 相談と決定

「と言う事なんだけど皆はどうしたい?」


 あの後ハクオウに会いに行った理由を思い出した私はハクオウを連れてこたつのある和室に戻ると速攻でこたつにダイブをした。体の半分をこたつの中に入れて顔だけを出すというこたつの正しい使い方(?)の状態に私は今なっている。

 そんな小学生がするような恰好をしてる私だが今はなした内容はシリアスというべき相談である。アンゲロス達がどんな選択をするかによって私のこれからが変わると言っても過言ではないことを相談しているのだ。


「私は前にも言いましたがリース様が学園に行くのは大賛成です。是非学園で常識というものを学んできてください」


 アンゲロスは私が学園に行くことに賛成的である。まぁ、アンゲロスに関しては前から同じようなことを行っているので知っていた。

 理由は私に常識がないと言っているのだがそれを私も自覚しているので否定しきれないのが辛いところである。


「私もアンゲロス様の意見に賛成です。リース様には常識というものがかけているように思うので学んだ方がいいと思います」


 付き合いがまだ半年と短いはずのトウハクにもアンゲロスと同じような事を言われてしまう。と言う事は私はよっぽどあれなのだろうか?

 確かに非常識という自覚はある。あるのだがそれでもアンゲロスを見ていると私って結構普通じゃない?と思う事があるのもまた事実である。

 これに関してはアンゲロスも規格外なところがあるので仕方ないと言えば仕方ないのだが....


「俺も姫様とアンゲロス殿の意見に賛成だ」


「アッ、ハイ」


 残りのハクオウにも私が非常識と言われたようなものなので少し落ち込んでしまう。魔王の時に幼い頃からずっと過ごしていたアンゲロスに非常識と言われるのは長い付き合いだからまだわかるのだが出会ってから半年の2人に言われると本当に心に来てしまう....

 言われる原因が私にあるのは理解しているのだが、理解していても傷つくものは傷つくのである。


「取り合えず3人の意見は私に学園に行けってことでOK?」


「「「そうですね」」」


 私の質問に3人とも全く同じ言葉で返答をしてくる。そんな様子に息ぴったりだなーと思わず現実逃避しそうになってしまったのだがそこは理性で何とか現実逃避をしないように抑え込む。

 3人の意見から同じ意見であることは分かっていたのだがまさか私の質問に一言一句違わず返答するとは全く予想できなかった...それだけ仲が良くなっているとポジティブな思考で考えることも一応できるのだがそれでもネガティブな思考の方が勝ってしまう。


「3人とも賛成だったら行こうかな...アンゲロスは擬態できるよね?」


「当然です」


 私の疑念点であったアンゲロス、トウハク、ハクオウの3人が私が学園に行くのが賛成なので迷う必要などない。それに加えてアンゲロスが完璧に人間に擬態することが可能なのでトウハクとハクオウの2人に擬態の方法を教えればなんとななるのでは?と今は考えている。

 それにアンゲロスも私の質問の意味を理解しているような感じなのでトウハクとハクオウが人間に擬態できるようになるのは時間の問題だろう。アンゲロスは私よりも他人に教えるという行為が上手だから1日もあれば出来るようになっている....かもしれない。


「擬態の方法は後程教えるとしまして。誰か1人はこの屋敷に残るべきだと思います」


 アンゲロスの提案に私はそれもそうか!となってしまった。私は3人とも連れて行くと考えていたのだが誰か1人この家に残っておかないと何かが起こる可能性があることを完璧に忘れてしまっていた。

 となると誰を連れていくのか迷うところである。

 私の右腕であるアンゲロスは確定であろう。暗殺や情報収集も得意なので学園に行ったらそういう場面で活躍する事が出来る....と思う。となるとハクオウとトウハク、どちらを連れて行くのかが問題になってくる。

 私の考えとしてはハクオウを連れていきたいと思っている。なので今のところはトウハクには留守番してもらう予定である。

 理由としてはハクオウを王都まで連れて行けばいつでも鍛錬をさせてあげる事が出来るし、留守番させようとしているトウハクは性格の良さで町のほとんどの人に妹のように扱われているとこの前パン屋さんに聞いたので丁度いいのだ。要するに何かがあればトウハクの方が安心できるというのが最大の決め手である。


「そしたらトウハク、この家に残ってくれるかしら?」


「私ですか...?」


 トウハクに残ってほしいという旨を伝えると驚いたような表情を浮かべていた。その表情はまるで自分が行くのが当然と思っていたような感じだった。

 何で自分が行くと確信していたのかはわからないのだが色々な理由からトウハクよりもハクオウを連れて行くと言う事は決まっているので覆ることは無い。アンゲロスも私の判断に頷いているので大丈夫だろう。


「そそ。色々と私なりに判断しての事だからね?」


 流石に何も伝えないのは駄目だと思うので一応は私の意見をトウハクに伝えた。私の意見を伝え終わるとトウハクも納得したような表情に変わっていたのでこれで大丈夫だろう。

 本人が納得しているし私の意見もすでに私の中だと決まっているのでこれで学園に関してはほとんど決まった感じである。後残っているのはアンゲロスとハクオウを王都でどうするかと言う事なのでそれは移動しているときにでも考えておけば大丈夫だろう。

 

「私は王都の方では影となりますね」


 そんな私の考えを見抜いてアンゲロスは王都でどう生活するのかを私に教えてくれた。そしてその内容だがどうやらアンゲロスは私の影として私に必要な情報収集をしながら護衛をするとのことだ。

 そしてアンゲロスの発言に一度頷いた後ハクオウの方を向くと....


「俺は学園の方を受けたいと思います」


 ハクオウも自分の考えを私に教えてくれた。

 お金は困らない程滅茶苦茶あるのでハクオウ1人の学費を払うことはたやすい。それだけではなく私の分も学費の免除無しで普通に払えるのだがそれはまぁ、学園の方に払ってもらった方が確実にお得なので学園に払ってもらうとしよう。

 と、そんなこんなで色々と心配だった私の考えは憂鬱に終わり、とんとん拍子で学園に行く事までもが決まってしまった。と言っても普通に学園に行くだけなので何も問題はないはず....というか問題なんて怒らないでほしいです....

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