29話 機械仕掛けの神の意

「というわけで私に王都立魔法学園の招待状が来ているんだけどアンゲロスはどうしたい?」


「それはまたいきなりですね....」


 家まで帰ってきた私は速攻でこたつの中に入り、今日届いた私宛の手紙の内容をアンゲロスに説明をする。本当はアンゲロスだけではなくトウハクとハクオウにも説明したかったのだが2人はそれぞれの用事でいなかったため一先ずはアンゲロスだけになった。

 私の突拍子の無い説明にアンゲロスは一度困惑したがそれでも内容がないような為すぐに理解をしてくれた。まぁ、理解してくれただけではなく....


「でもまぁ、私としてはリース様に王都立魔法学園に行って常識を学んでほしい物ですね....」


「アハハハ....」


 私が王都立魔法学園に行く事に賛成してきたのだ。とはいっても前から私に学園に行って常識を学んでほしいと言っていたのでこれと言って新しい事ではないのだがそれでもなんか色々と複雑な気分である。

 それに私が学園に行ってしまうと人間に擬態できるアンゲロスはともかくトウハクとハクオウがどうなるのかわからないのでアンゲロスが賛成だとしてもまだ決めることはできない。


「ああ、それと機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナについてなんですが先ほど回収しておきました。流石に5万年以上前のものを完璧に直すのは時間がかかるので少し待っていてください」


「本当に!?」


 色々学園について考えていたのだがそんな時、アンゲロスから吉報が来た。アンゲロスには魔王の時から前世の話はしているし、機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナについても話していたのだが、それがまさか吉報につながるとは完全に嬉しい誤算である。

 それに機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナは私の手にかかればすぐ治せると思うし、1つの欠片でもあれば後は自然と集まってくるように設定プログラミングしているので直るのは完全に時間の問題である。


「一先ずトウハクとハクオウが戻ってきたら教えて!私は機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの様子を見てくるから!」


「え?いや、ちょっ.....」


 アンゲロスが何か言っているが私は気にせずにアンゲロスの思念から機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナがどこにいるのかを読み取ってそこに向けて走り出す。

 機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナは私の最高傑作ともいえる神の模造品で、生きている機械なため早く会いたいという感情が大きくなってしまった。そのため私はアンゲロスの話を聞かずに暴挙に出るという行動を起こしてしまった。

 割といつもの事とはツッコんではいけない....



────────────────────


「はぁ....っ....はぁ....っ」


 家が壊れない程度に全力で走ったため手加減が難しく久々に疲れ、という感覚を体験してしまった。疲れに関しては七瀬楓としてそれ以上の物を毎日のように体験していたため今更であり特に問題などない....と思っていたのだがそれでもやっぱり疲れるのは嫌である。


「あれ?リース様何をしに来たんですか?」


「うぇ?!トウハク?!こんなところで何してるの?」


 機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナがある場所に来るとそこには機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナだけではなく何やら研究のようなものをしているトウハクの姿もあった。どうやって作ったのかは知らないけど白衣に眼鏡と完全に現代の研究者の格好になっているトウハクだったがそれでも滅茶苦茶にあっていて違和感を覚えることは無い。


「アンゲロス様に頼まれてこれの解析をしているんですよ。あ、因みにこの服はアンゲロス様に作ってもらいました!」


 話を聞くとトウハクちゃんは昔からとある理由で異世界の知識に触れることが多かったみたいで現代科学などが大好きだったらしい。そのためこういう研究はお手の物だし白衣を着てみたかった....とのことだ。

 本当に意外である。どうやらトウハクの母は今の魔王に拉致られた日本人でありその為名前も桃白トウハクになったという感じらしい。


「そうなのね....ってか機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの解析って...」


 一応機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナは現代科学でも解明できないオーバーテクノロジーと私は思っているのでトウハクには解析できないと思う。というか解析されたらそれはそれで悲しいので解析してほしくないというのが私の本音である。

 オーバーテクノロジーを作れ時点で凄いと思うのだがそれでも解析されることだけは本当に嫌である....


「これ、機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナっていうんですね....1回だけ見たことのあるあの女神と似ているのでまさかとは思っていましたが神話の古代兵器だったとは....」


「まーた、そんな大層な2つ名が付けられている...」


 アンゲロスは神話の時代の魔族という事だったが機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナは神話の古代兵器とされているらしい。しかし魔王の時代...要するに2万年前が神話の時代とされているのにも関わらず大賢者の時.....5万年以上前に作ったはずの機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナも神話とされているのは一体何故だろう....?

 まぁそこらへんは伝承の仕方で色々変わってしまう可能性があるので深く考えるだけ無駄であるだろう。そもそもの話だが機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナを表に出したことはほとんどないので伝承が変わってしまっていても特におかしくないし....


「あ、それでリース様は何をしに来たんですか?」


「一応機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナを見に来ただけだったんだけど....」


「けど?」


「トウハクにも用事があったのよね」


 この場所の用事は機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナだけだったのだがトウハクがいたのでトウハクにも用事が出来た。トウハクに私が学園に招待されたことを伝えるとアンゲロスと同じような感じになったのだが気にしないでおこう....


「あ、それとこの機械?生物?何ですけど一部が足りてなくて動かせないんですよね....」


 機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの見た目は完全なメイドの少女という感じなのでトウハクが機械か生物かわからないのは仕方がないだろう。なにせ作った私ですらたまに機械か生物か分からなくなってしまう事があるから見分けるのが本当に仕方がないのである....

 と、そんなことは置いといて動かないのは当然だ。トウハク自身も言っていたのだがこれは本体であるが一部パーツが足りない欠片である。動かすためにはまた新しく足りない欠片を作るかこの世界のどこかにある...と思う欠片を集めるの二択しかない。


「それに関しては私が今度残りのパーツを作るから特に気にしなくていいわよ?」


「本当ですか?!」


 これは本当である。私としても機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの事を起動したいと考えている為今度....というか今すぐにでも足りないパーツを作りたいと思っている。


「まぁ、これに関してはあとで話すとしてさっきも言ったけど私の学園について色々と相談したいから来てくれるかしら?」


「勿論です!解析も一区切りついていいところですしね」


 チラッと見たが確かに解析は結構いいところまで行ってて尚且つ区切りもついている状況だったので丁度いい時に声をかけられたのだろう。

 これで機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの再起動についても目安が付いたしトウハクも見つける事が出来た。後はハクオウを見つけるだけである!

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