27話 苦悩
「リース様、アーゼ様から非常識なことをしていると苦情が来ました。言い訳は聞いてあげますよ?」
「うーん....すみませんでしたぁぁ!!」
見事なまでのスライディング土下座(当社比)をアンゲロスに決める私。こんなのが神を倒せる化け物だと誰が想像できるだろうか?少なくとも私は絶対にできない。
とまぁ、そんなネタみたいなことは一度おいておこう。今大事な事はアンゲロスに対してどう謝るからである。
「アンゲロス様、何があったのですか?」
全力でスライディング土下座をして叫んだ私のことを聞いてお菓子を作っていたトウハクが私とアンゲロスの方に向かってくる。
ハクオウに関してはペインさんとなにかしている....まぁ十中八九授業だと思う....ので来ることはないのだがアンゲロスのことを狂ったように、神のように信仰しているトウハクが来てしまったのはかなりの痛手である。
「いえ何でもありませんよ?ただリース様に説教をしているだけなので」
「え、またなんですか....?」
最近アンゲロスに続いてトウハクも私に対する態度が辛辣になってきている気がするのだが気にしたら負けだろう。
「トウハクちゃんから何がアンゲロスにいってくれない....?」
無謀だとわかっているけど一応お願いはしてみる。もしかしたら、なにかの手違いで奇跡が起きてトウハクが私の味方をしてくれる可能性が....
「アンゲロス様の言っていることが正しいので無理ですね」
ありませんよね。はい。
知っていたので特に困らない返答がトウハクから帰ってきたのだがそれでも正面切ってそんなことを言われると傷ついてしまう。
傷ついても特に何もならないのだが....
「それにリース様は常識というものを学んでは如何ですか?」
どうやら私には味方などいないらしい。呆れるだけだったトウハクも遂にはそんなことを言い始めてきた。
本当に解せない。確かに今の時代とは色々ズレているがそれでも最低限の常識というものは持っていると自負している。だからこそアンゲロスとトウハクの勝手な物言いが本当に解せない。
「リース様には常識などはありませんよ?それを自覚してくださいね」
「アッ、ハイ」
まるで私の心を見透かされているかのごとく....というか実際に見ている可能性が出ている...アンゲロスは私にツッコミを入れてきた。
そうやってなんでとすぐに指定するのは良くないと思います!実際はアンゲロスとトウハクが怖いのでそんなこと言えるはずがないのだが心の中なら許して貰えるだろう。というか心の中の自由までを奪わないでほしい....
「アンゲロス様は色々苦労しているんですね....」
「トウハク様は分かってくれるんですね....」
うーん...私のおかげでアンゲロスとトウハクがわかり合っているのだがなんか全く納得がいかない。まずアンゲロスは一体私のどこが苦労しているのか、これが全くわからない。ってか苦労しているならそれを教えてくれないと何処を改善すればわからないので改善のしようが全くない。そういうことも考えてほしい物である。
と言っても私は主でアンゲロスは配下。そこに主従関係があるので気軽にそういうことを言えるような立場でもないことは理解しているつもりなのでそこは仕方がない事なのだろう。
「2人とも私の事をどう思っているの....?」
仕方ないと思うのだがそれでも私の事をどう思うのか知りたいと単純な興味はあるのでそんな質問をする。
質問をすると言ってもなんとなくで私の印象は分かっている....つもりなので予想はできた。後は私のしたこの予想があっているかどうかなのだが......
「色々と大変な妹的存在ですかね」
「うーん...まだ一緒に過ごして半年しかすぎていませんけど印象は優しいけど非常識みたいな感じですかね?」
トウハクの私に対する印象の予想は完璧に当たっていた。自分で言うとあれなのだが私は結構優しい方であると思っているしアンゲロスに散々非常識と言われている為最近はそれも自覚している。当たってしまったことに喜ぶべきか悲しむべきかわからないが.....
しかし私の予想が当たったトウハクとは違いアンゲロスのことは予想する事が出来なかった。というのもアンゲロスもトウハクと同じような事を言うと構えていたのだが妹的存在と褒められた(?)ので少しむず痒くなってしまう。
今まで怒られることはあっても素直に褒められることは少なかったので当たり前の反応である。まぁ、他の配下に影で色々と私の為に働いてくれていたことを教えてもらっていたので少し違うような気がするが....
「アンゲロスって私の事そう思っていたんだね....」
確かに私の中でもアンゲロスはできる大人のお姉さんみたいなポジションだった為なんとなく腑に落ちるのだがどういう意味なのかアンゲロスから直接聞いてみたい。そう思ってしまった。
「まぁ...リース様が小さい時から一緒に居ますしね....」
幼馴染。それが本来の私とアンゲロスの関係を表すのにぴったりな言葉であるため互いが姉妹と思うのは当然のことである。そのことを私は忘れてしまっていたのだがアンゲロスはちゃんと覚えていたらしくそれを踏まえたうえで私に対する印象を言ったらしい。
私とアンゲロスが幼馴染なことをトウハクが知らないのは当たり前なのだが、それ以外にも魔王としての配下もほんのわずかしか知らない事実である。何なら本人であるはずの私も忘れかけてしまっていたことだったし....
「リース様ならそう言うと思っていましたよ....」
私がアンゲロスと幼馴染の関係であることを忘れかけてしまっていたことを伝えると何故か呆れたような表情を浮かべる。これに関しては忘れかけてしまっていた私が悪いのでアンゲロスに対して何かを反論できるわけではない....
苦悩しているような表情を浮かべるアンゲロスだが私が忘れていた以上な表情を
浮かべているのでその意味が全く分からないのだが....まぁ、気にしないで大丈夫だろう....
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