26話 一時の平穏

「科学魔法:荷電粒子砲チャージド・パーティカル・キャノン!!」


「えぇ.....何その魔法....」


 トウハクとハクオウが私の家に来てから半年が経過してしまった。こんなに時間の流れって早かったっけ?と思いながら毎日....とまではいかないがほとんど毎日アーゼさんと依頼を受けながらハクオウに修行をつけている毎日を過ごしている。

 前みたいに魔族との戦いがあるわけでもなく、本当に平穏な毎日を送れている。まるで嵐の前の静けさの如く、何も起こっていないが....


「そういえばリースちゃん、王都の学園にはいかないのかしら?」


「それはまぁ....考えている途中ですね」


 アンゲロスに前質問された王都の学園に行くかどうか、正直これは迷っている。

 確かに平穏で普通な学園生活を送って見たいと考えているのだが、あそこには私の嫌いな奴らがたくさんいるのでいい気分ではなくなるのは確実だ。それに加えて私の力を少しでも見せてしまえば目に見えて普通な学園生活を過ごすことができなくなるのはわかりるので嫌なのだ。


「そう...まぁ、まだ半年考える時間はあるんだしじっくりと熟考しなさい」


「それもそうですね」


 アーゼさんの言うとおり学園二私が入学するのは半年ほど猶予が残っているのだ今焦って決める必要はない。じっくりと考えて決めていけばいいだけだ。

 半年後、つまりは私が18歳になった後なので成人してから学校に通うのは意味が無い気がするのは私だけではないはず....うん....

 と、そんなことを考えている私だが依頼である樹霊狼ドリュアス・ウルフを殲滅するその手が止まることは無い。


「というかよく樹霊狼ドリュアス・ウルフの群れを私と会話しながら倒せるわね....樹霊狼ドリュアス・ウルフもオークカラミティと同じランクなんだけどね?」


「あ、そうなんですか?」


 樹霊狼ドリュアス・ウルフは確かに思考能力が低い魔獣の中では強い方だがそれでもてこずる相手ではないと記憶していたので超電磁砲レールガンと同じ科学魔法の1つである『荷電粒子砲チャージド・パーティカル・キャノン』を使ってすぐに殲滅していたのだがやっぱり強さの基準が変わって樹霊狼ドリュアス・ウルフもSランクになっていたらしい。

 とはいってもアーゼさんの前だとすでに魔法を色々使ってしまっているので今更感が半端ないので正直どうでもいいのだが....


「ま、アンゲロスさんみたいな強い魔族が師匠のリースちゃんならばこのくらい不思議に思わなくなってきたんだけどね....」


「アハハハ....」


 それにアーゼさんも私の力にはだいぶ慣れてきたみたいなので特に問題はないだろう。終わり良ければ総て良しという言葉があるしね。

 それにアーゼさん以外にバレなければいいだけの話だし、バレたとしても記憶操作を施せばそれで一発解決だから問題はない。


樹霊狼ドリュアス・ウルフの討伐数は規定の数行ったけどどうするかしら?」


「私としてはもう少し手加減の方法を覚えておきたいので樹霊狼ドリュアス・ウルフじゃなくても大丈夫なんで戦いたいですね」


 死体なんかは無限と時間停止を付与している魔法鞄マジックバッグがあるのでどうとでも保存することができる。なんなら私のスキルでその場で解体することすら可能なので問題ではない。

 腐生人ゾンビやら死霊ワイトなどのすでに死んでいる魔物ならば少し手間がかかってじうのだが、そこは光魔法で消せばいいだけである。


「ふふ、如何にもリースちゃんらしいわね」


「私らしいってなんですか?!」


 訳のわからないことを言い始めるアーゼさん。既にアーゼさんとの付き合いは半年になっているのだが未だにアーゼさんがこういうときに何を考えて言っているのか見透すことが全くできない。

 いや、見透すことができないんじゃなくてアーゼさんが何も考えていないない可能性もあるのだが流石にそれはないだろう。職業ジョブが魔剣士だし脳筋ではないと思うし....


「リースちゃんらしいはリースちゃんらしってことよ。この半年で結構リースちゃんのことをしれたつもりだしね」


「ああ、そういうことですか...」


 なんとなくアーゼさんの言いたいことはわかった。半年間過ごした間で私が良くしておる行動を理解した、という感じだろう。

 それなら意味がわかるし納得することができる。十中八九ここにアンゲロスがいたのならアーゼさんの言葉に賛同していただろう。そのくらい私は同じような事を毎回しているらしい。


「取り合えずどうしますか?近くに居るのは.....あ、近くに龍人族ドラゴニュートが居たり機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの欠片があるみたいですしそれに行くのも面白そうですよ?」


「リースちゃん...本気で学園に行くのをお勧めするわよ?」


「え?」


 どの時代でも珍しい龍人族ドラゴニュートの反応が私の探知範囲内に入ったので行くかどうか迷ったのだが続けて私が暇だったから大賢者時代に生み出した古代兵器である、機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの残骸の反応も見つけたのでどっちに行くか迷ってしまった。

 龍人族ドラゴニュートは珍しいだけではなく普通に強いのでいい練習相手になる。しかし機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナという私のお手伝いロボット神の模造品の反応を見つけてしまった以上そっちも気になって仕方がないのである。


龍人族ドラゴニュートはまだいいわ。私も一応ギリギリになるけど倒せるもの」


「じゃあ....」


「けどね、機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナはたとえその欠片だとしても人間が勝つのは不可能な代物なのよ?」


「あっ」


 アーゼさんに言われて思い出したのだが私にとっての機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナはお手伝いロボットなのだが普通に考えれば神を模造して作った機械なのである。私は不意打ちなどの姑息な手段を使われない一対一ならば基本神に勝てるので特に問題ないのだが人間で神に....しかもこの時代だと全くいないような状況なので機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナが脅威なのは考えるまでないだろう。

 因みに機械仕掛けの神の意デウス・エクス・マキナの姿は普通の少女の姿をしているのだが今は関係ない話である。


「はぁ....まぁいいわ。この辺ならきっと地獄炎蛇ヘルサラマンダーが出るでしょうしそれで手加減を覚えましょ?」


「わかりました!」


 アーゼさんが呆れたような目で私の事を見るが私は特に気にしない。だって、今の私の生活が平凡とは違うかもしれないけどとても楽しいからである。アーゼさんから呆れられるのも何故だか楽しくなってくる。

 兎に角今は毎日が最高である!

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