20話 因縁について

「なるほどね....つまり今世の私の因縁はもう少し余裕があると」


「そうですね。私がリース様の魂を見た感じ後1年ほど猶予があると思われます」


 アンゲロスと再開してからはや数日、アンゲロス用の服を探したり依頼を受けて目立ったりといろいろ有りすぎた為に疲れているのだが、私はアンゲロス今世での因縁について話を聞いている。

 というのもアンゲロスは魂を直接見ることができその応用で因縁について知ることもできるらしいのだ。やろうと思えばできないとは思わないのだが今の時点で私にできないことなので素直に凄いと思う。


「となるとその期間で色々と準備はしておいたほうがいいわね」


「そのほうがよろしいかと」


 これでどのような因縁が来るのかわかれば嬉しかったのだがそれは高望みしすぎだろう。今は大まかな時期さえわかれば十分である。

 時期さえわかっていれば対策を事前に考えることができるのでこっちのもんである。まぁ手段さえ選ばなければいくらでも対処できるのだがそれは最終奥義であるためあまり行動に移したくない。


「ま、当たり前よね」


「それとここ数日で色々調べてみたのですがリース様は王都にある学園にはいかれないのですか?」


「ああ....学園ねぇ....」


 学園というのはこの王国にある王都立魔法学園というものである。貴族の令嬢や魔法に適性のある平民が通う学校であり本来なら私も通うはずだった学校である。と言っても謎の準備期間なるものがあり私と同い年の子が通うのは来年になるのだが....

 そんなことは置いといて私にそう言う事を聞くと言う事は....


「もしかして私の身辺調査したのかしら?」


「勝手ながらリース様の今世についていろいろと調べさせてもらいました」


 アンゲロスの情報収集能力は本当に優秀の一言だったのでいつかバレるとは思っていたのだがさすがにこれは予想外すぎて呆れてしまった。とはいっても私の今世は唯の公爵家次女なので特にばれても問題ないというか伝えようと思っていたくらいなので丁度いい位である。


「まぁアンゲロスの質問に答えるとするなら今はわからないかな....確かに学園にはいってみたいんだけど少し面倒な奴らが多くてね....」


 思い出すのは公爵家実家でのいろいろな出来事である。私は公爵家実家のメイドや執事には無能のレッテルを張られていたのだがそれでも『要領のいい気弱な少女』というのを演じていたため一部には結構可愛がられていた。

 そして社交界にも『要領のいい気弱な少女』を演じていたため色々な馬鹿な男に言い寄られていたのだ。私と同い年の第一王子や侯爵の息子、この国の魔導士団団長の息子等々がいい寄ってきたのだが本当にウザかった。まぁ、内心愚かだなとほくそ笑んでいたのは内緒の話である。


「成程.....そいつら全員殺してきますか?」


「ダメダメダメ!!!」


 アンゲロスがどこからナイフを取り出してそれを妖艶な態度で舐める。妖艶なのだがあふれ出ている殺気が本当に怖い。怖すぎる....

 確かにあいつあの態度的に今すぐ殺してほしいのだが全員が国において重要な人物になるので手が出せないというのが現状である。


「一応未来のこの国を背負う人物であると思うから殺さないでおいて....まぁ、私に情報を流すくらいはお願いしたいけど....」


「了解です!」


 確かにあいつらの情報が欲しいのは確かであるのでそこはアンゲロスにお願いすることにした。そしてアンゲロスは私が命令お願いをすると喜んでいる声色で消えて、情報を集めに行ってくれた。

 と、丁度アンゲロスがいなくなった時だ、


「リースちゃん。ペインが物件を紹介したいって言ってるんだけどギルドまで来てくれる?」


「あ、わかりました!」


 アーゼさんが少し前に約束していた物件紹介の準備が出来たと伝えに来てくれた。アンゲロスが情報収集に行ってしまったのでタイミングは割と悪いのだがそれでも自分の家が手に入ると考えるとウキウキになってくる。

 そんな気分でドアを開けるとそこには少し不機嫌そうなアーゼさんが立っていた。


「えっと....なんか不機嫌そうですけど何かあったんですか?」


「ペインの奴に負けかけたのよ!」


 その瞬間これ以上何か聞くと色々とヤバいと私の本能が呼びかけてきたので口を黙ることにした。私の本能は色々と当たることがあるので今回の私の勘も当たっていると思う。というか目に見えてわかる事なので勘もクソもないのだが.....


「まぁ、ペインの話は置いて...さっきも言ったけどペインの奴がリースちゃんとアンゲロスさん用の家をいくつか見つけてくれたわよ」


「今すぐに行きましょうよ!!!」


 普通の一軒家というのは私の人生経験上はななかえでとして幼いころに住んでいただけであるので一度は住んでみたいと思っていたので嬉しいの限りである。まぁ、魔王城とか公爵家の屋敷とかも元日本人の私としては嬉しかったのだが庶民で小物な私は一軒家の方が嬉しいので一軒家があることを期待しよう。


「それじゃあ行きましょうか!」


「なんかワクワクしていない....?」


 アーゼさんが何か言っている気がするがとにかくワクワクしている私の耳には全く聞こえてこなかった。

 兎に角いい物件を見つけるとしよう!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る