19話 紹介

「そういうわけでさっき言った私の師匠です」


「うん、いったいどういうわけなのかしら?」


 あれから軽く雑談をアンゲロスとしながらアルケーの町にある冒険者ギルドまで戻って行った。冒険者ギルドの中に入るとアーゼさんが私の事を大急ぎで探していたらしく息をかなり切らせて私に向かってきた。

 私もアーゼさんとペインさんに丁度用事....というかアンゲロスの事を紹介しようと思っていたので丁度良かったと思ったのだがあアーゼさんは違ったらしく冒険者ギルドで見つかってすぐにアンゲロスと共に拘束されて無理やりペインさんのもまで連れていかれた。元はと言えば私がこの部屋から出て行ったのを止めなかったリースさんが悪いと思うので酷い仕打ちである。出る時に気配消していたけど....


「さっきゴブリンを少し残しちゃっていたのに気が付いたので戻りに行ったら私の師匠であるアンゲロスと再会したんですってば!!」


 なんとなくでわかっていたけど私の説明はそう簡単に受け入れてもらう事が出来なかった。そもそもの話アンゲロスの魔力量はこの時代の人間から見れば異質そのものでありざっとアーゼさんの数京倍以上はあるので当たり前と言ってら私は何も反論する事が出来ない。

 本当にこれは予想の範囲内だったので一応は次の手を考えているのだが....これはあまり使いたくない手であるため本当の最終手段である。因みに今私が考えている最終手段というのは完全催眠である。元からアンゲロスがいたものと周りに刷り込むというものなのだがバレたら色々とめんどくさいことが確実に起こるのは目に見えているのでこれは本当に使いたくない。


「師匠さんと再会できたところまではまだ理解できるのよ。でもね、あなたの師匠さんの魔力量がおかしすぎるというかなんというか....」


「俺もアーゼと同意見だ。そいつの魔力は普通の魔族に比べても多すぎる。まさに異常の一言でしか言い表す事が出来ない」


 2人が言っていることは至極まっとうであるため私は何も言い返す事が出来ない。いや、一応私もいい分は考えてみたのだが本当にいいものな無かったため反論が思いついていない。

 その為アンゲロスを横目で見ると私の視線に気づいたのか軽くうなずいてくれた。


「当然です。私はこれでも2万年以上の長き時を生きている魔族ですので魔力量が多いのは当たり前ですよ」


「神話の時代からだとッ?!」


 私でも忘れていたようなころをアンゲロスはアーゼさん達への説明言い訳に使ってくれた。というかそうだった。アンゲロスは2万年以上前から私の事を慕ってくれているので結構長生きの魔族である。そしてアンゲロスのいた2万年前の時代はこの時代では神話の時代と呼ばれており、その時代に生きていた魔族や人間たちはとてつもない力を持っていた、と言い伝えられているのでアンゲロスが神話の時代から生きていると知れば多少は納得してくれる...かも?

 とはいっても仮に納得したらしたらでなぜ私が神話の時代から生きている魔族の弟子になったのか追及が始まる予感がするのでそれは絶対に嫌である。しかしアンゲロスと私の本当の関係がバレるのも嫌と結構私は強欲である....


「そうか神話の時代から生きている魔族なのか.....」


「そしたらその魔力量は何もおかしくないわね。ただし何でそんな魔族がリースちゃんの師匠になっているのか気になるけど.....」


 アーゼさんに軽く睨まれたので私はさっと視線を逸らす。こういう時は視線をそらさずに堂々としているのが一番なのかもしれないのだが元人間で小物な私にそんな勇気はない。ってかアーゼさんの視線が怖すぎるんですけど....


「まぁ、いつか話してくれると信じて今は聞かないでおくわ」


「ありがとうございます....」


 何とかなったようだ。と言ってもアーゼさんの話方からいつかは言わないとダメな日が来ると思うがそれでも多少はその時までに心の準備はできていると思うのでまだましであるだろう。

 それに今私の秘密を伝えればただただアーゼさん達を私の因縁に巻き込んでしまう可能性が高いからどうしても教えることはできないのだ。いつか話さないといけないのだって私も知っている。だけどそれは私の因縁がほとんどと決着がついてからになるだろう。


「それでリースちゃんはそのアンゲロスさんだっけ?と、暮らすってことでいいのかしら?」


「はい。一応お金はそこそこあるので2人で暮らせる家は買う事が出来ますし」


 いざとなった時用の鉱物を除いてもお母様たちが持たせてくれた金貨が50枚ほどあるのでお金には困っていない。因みに金貨の値段は日本で言う一枚5万円であるのだがこれはまぁ、後日教えることにしておこう。

 取り合えず普通の家を買える相場以上のお金を持っているので家に関しては本当に問題が無いのだ。いざとなれば『祝福の神鋼オオヒヒイロカネ』を売ればいいだけなので大丈夫だろう。


「そう言う事なら俺の方からギルドで管理している家を今度紹介してやる」


「本当ですか!?それならありがたいです!」


 正直どこの不動産に行けばいいのかわからなかったのでペインさんの申し出は嬉しいの一言に限る。

 まぁ、これで家についてのめども立ったことだし因縁について色々と考えていきますか.....

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