13話 ギルドマスター

「最低でもAランクか....最低でもということはSランクにしろと言う事か?」


「そうね、SランクもしくはSSランクでも私は構わないわ」


「いや、私が困まるんですよ!!」

 

 どうやらアーゼさんは私の事を最低でもAランクにしかも要求としては私の事をSランク、SSランクにしたいらしい。

 正直に言ってアーゼさんの意図が私には全く理解が出来ない。

 いや、理解するだけなら魔法創作で心を読める魔法を創ればいいだけの話だ。

 しかし、それだとなんか違うような気がするので私はあえてその魔法を創っていない。


「と、本人は言っているがそれでもお前はこいつをSランクにしたいのか?」


「ええ、リースちゃんをSランクにしたいわ」


「あ、もう私の意見は無視なんですね....」


 私は困ると言ったがペインさんとアーゼさんの会話は私を無視してどんどんと進んでいく。

 それ自体は割といいのだが、内容がないようなので私の言葉を無視されるのはなんか納得がいかない.....


「リースちゃんの為でもあるのよ?」


「え?」


 正直、今でも新人ながらCランクに上がって、Sランクのアーゼさんとパーティーを組んでいるので色々と私は目立っているのでこれ以上目立ちたくはない。

 だから、アーゼさんがSランク冒険者に私がなるのは私の為と言う言葉は理解しがたかった。


「Sランク冒険者はこの国はおろか帝国、聖国大小さまざまな国を合わせても両手で数える人数しかいないの」


「それは会話でなんとなくわかりましたが、何で私の為になるんですか?」


「この国に数人しかいないからSランク冒険者は畏怖の対象になっている、下手な冒険者は私達に話しかけるという事すらしないのよ」


 その言葉を聞くと私はアーゼさんの言いたいことがすべて理解できた。

 アーゼさんは私が他の冒険者に色々と見られて、目立っているといるのが嫌と言うことを知っているらしく、Sランク冒険者になればそんな事は無くなるという甘美な言葉で誘惑してくる。


「まさか、目立ちたくないためだけにこいつをSランク冒険者にするのか?!」


「何か問題でも?それに私に勝てる実力を持ってるんだからSランク冒険者なのは当然の措置と言えるでしょ?」


「はぁぁ?!お前よりも強いのかよ....」


 突然のカミングアウトにアーゼさんの実力を知っていると思われるペインさんは驚愕の表情を浮かべる。

 まぁ当然の反応だと思う。

 突然新米の冒険者がSランク冒険者よりも強いなんて言われてもそうそう信じることなんて少なくとも私にはできない。


「一回負けたわ、しかもリースちゃんは清々しい程に手加減をしてたしね」


「手加減をしていたことは認めますけどなんでそのことをペインさん...ギルドマスターに言うんですか....」


「手加減してお前に勝てるのかよ....」


 私がアーゼさんよりも強いという情報だけで理解しがたいと思うが、そこに私が舐めプで勝ったという情報が付け足されたためペインさんは唖然としてしまった。

 遠い目で虚無を見つめてしまっているペインさん、だがアーゼさんはそんなペインさんの様子を全く気にせず話を続ける。


「ほらペイン、さっさとリースちゃんをSランク冒険者にしなさい!」


「お前からの紹介だから疑いたくはないがやっぱりな....」


「何よ、私が嘘ついてるとでも?」


「いや、そういうわけじゃないんだよ.......」


「あの、いきなり強いと思っている人が自分よりも強いっていう人を証拠も無しに連れてこられて信じれるはずがないですよね?」


 流石にアーゼさんの勢いが凄かったため制止の意味と本音をアーゼさんにぶつける。

 私の言葉にペインさんは「助かった」と言う視線を向けてきた。


「それもそうね.....」


「分かった、リース俺と戦え、俺だって隻眼になっただけで元々はSランク冒険者だ」


「........わかりました」


「リースちゃん、絶対に勝ちなさい!!」


 ペインさんも隻眼になってしまったからやめてしまっただけで元々はSランク冒険者だったらしい。

 これでペインさんに勝ってしまえばSランク冒険者になってしまうのかな.......?

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