12話 報告
「ゴブリンカラミティの群れを倒せたんですか!?あれは確かSランク全員でも倒せるか倒せないかのはずですよ?!」
「カイナちゃん、静かにして頂戴」
「声、大きいですよ」
私とアーゼさんが、ギルドに戻り、丁度受付に居たカイナさんにゴブリンカラミティが作った群れを討伐したことを伝えると、物凄く驚かれた。
予想通りという反応だ。
アーゼさんに聞いたのだが、ゴブリンカラミティの群れは過去に一度発生したことがあり、その時はSランク冒険者全員でやっと勝てた、と言うレベルだったらしい。
まぁ、それでも私の敵では無いんだけどね!!
「アーゼさんが倒したんですか?」
「そうね、私がゴブリンカラミティは倒したわ」
「ゴブリンカラミティは?」
「それ以外のゴブリンキングとゴブリンエンペラーは全部リースちゃんが倒してくれたのよ」
「うぇ?!」
一応私はアーゼさんに認められてCランクになったので、カラミティを倒せなくともキングとエンペラーは倒せる実力があるというのはべれても別に問題はない。
「カラミティは倒せなくてもキングとエンペラーは何とか倒せたんですよね~」
「もうなんか色々驚きすぎて疲れますよ.....」
「まぁ頑張ってとしか言いようがないけど、カイナちゃん、ゴブリンカラミティの査定お願いできる?」
話をそらすようにアーゼさんはゴブリンカラミティの耳を取り出す。
亜空間収納でゴブリンカラミティを丸ごと入れようと考えたが、流石にそれは目立ってしまうと思いどうする考えたが、結局ゴブリンの提出部位である耳だけを持ってきた。
数百いたキングとカラミティは10体だけ耳をとり、残りは亜空間収納の時を止めて、中に丸ごと放り込んだ。
時が止まっているので腐敗する心配はない。
だから亜空間収納は便利だ。
「わかりまして、耳だけでいいですか?」
「ええ、持ってきたのは耳だけよ」
「あ、私もゴブリンキングとゴブリンエンペラーの耳があるんで査定お願いします!」
アーゼさんに送れるように私も10体分のゴブリンキングとゴブリンエンペラーの耳を『
私が持っているのは唯の『
容量は無限なので本当ならもう少し分ゴブリンキングとゴブリンエンペラーの、耳を出してもいいのだがあえてこの数にした。
「それぞれ10体も倒したんですか?!」
「ええ、運が良かったんですかね?」
「ゴブリンキングとゴブリンエンペラーは運でどうにかできる魔物ではないんで、リースさんの実力だと思いますよ?」
当然運ではないのだが、カイナさんが勘違いしてくれる僅かな可能性に賭けて運で勝てたと言ってみるが当然そんなバカみたいな言い訳が通ることなどあるはずがない。
実力で倒したとすぐにカイナさんは理解をする。
「それとギルドマスターを呼んでくれる?リースちゃんの事で色々と話があるから」
「ギルマスですね?今呼んできます!!」
ギルドマスターを呼んでほしいとアーゼさんが言うと、カイナさんは少し急ぎ目にギルドマスターの事を呼びに行く。
Sランク冒険者になると王都にあるギルドのギルドマスターは別として、辺境の地にあるギルドのギルドマスターでは頭が上がらなくなるらしい。
今回アーゼさんがギルドマスターを呼べたこともそれに関係しているとのことだ。
「ギルマスの許可取れてきましたよ!!奥の部屋に進んでください!!」
「奥の部屋ね、わかったわ」
カイナさんが戻ってくると、すぐにギルドマスターに合う許可は出た。
流石はSランク冒険者だ。
アーゼさんはカイナさんについて行ったので私もアーゼさんの後に続く。
「ギルドマスター、アーゼさんとリースさんを連れてきました」
「入っていいぞ」
カイナさんがそう言うと、部屋の中からは男性の声が聞こえてくる。
どうやらここのギルドマスターは男性のようだ。
許可が出るとすぐにアーゼさんは何のためらいもなく、部屋へと入っていった。
「失礼します」
「お邪魔します」
「アーゼとそっちが話題のリースだな?」
「ええ、お久しぶりですね」
部屋の中に入ると2mほどある男性が座っていた。
アーゼさんほどではないが、そこそこの威圧を放っている。
「俺がギルドマスターのペインだ」
「リースです、宜しくお願いしますね」
ギルドマスター、ペインさんは見た目は確かに怖いが、話してみるととても人柄の言い人だ。
アーゼさんとも古い知り合いとのことで仲がよさそうだ。
「まずは魔物の森でゴブリンカラミティの群れを発見したわ」
「カイナに話は一通り聞いたがにわかには信じられん.....」
ペインさんはカイナさんにゴブリンカラミティの群れが出たことを聞いていたが、どうも信じられていないようだ。
と言ってもゴブリンカラミティの群れがこの時代に出たのは10年以上前に一度だけ、しかもその時はアーゼさんも含めたこの国にいるSランク冒険者全員でやっと倒せたとのことなので信じられなくてもしょうがない。
「私もだけど、実際に居たのよ.....」
「そうか....それでキングとエンペラーはどうなった?」
「それは.....」
私に視線を合わせてくるアーゼさん。
それに気づいた私は少し頷くと....
「私が倒しました、ゴブリンキングとゴブリンエンペラーそれぞれ10体ずつです」
亜空間収納からゴブリンキングとゴブリンエンペラーの耳をそれぞれ10個ずつ取り出して、ペインさんに見せる。
私が取り出した耳にペインさんは少し驚いたが、流石はギルドマスターであり、すぐに冷静な目になった。
「魔石はあるか?」
「はい、魔石もそれぞれ10個ずつです」
魔石とは魔物や魔族の魔力から作られる石の事で、大半は絶命した時に体内から取り出せる石の事だ。
一部の魔族は生きていても魔石を取り出せるのだがそれは本当に一握りなので数えなくてもいいだろう。
「かなり取り出しの質もいいな.....」
「これでリースちゃんの実力はわかってくれたかしら?」
私が取り出した魔石を見てペインさんは、再び驚いている。
そんな表情をアーゼさんは嬉しそうに見ながら、悪い笑みを浮かべている。
「ああ、それで?俺にこいつの実力を見せたってことは何か思惑があるんだな?」
「察しが良くて助かるわ、リースちゃんを最低でもAランク冒険者にしてほしいの」
悪い笑みを浮かべていたアーゼさんは、まだ驚きの色を残しているペインさんに対してそんなことを言った。
私別にこのままCランクでもいいんだけど実力を理解されたら無理だよね....
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