6話 常識と非常識

「そういえば、私どんな依頼受けられるんですか?」


「そうですね.....アーゼさんと一緒なのでSランクの1人向けのクエストまでなら受ける事が出来ますよ?」


「え?もうSランクの依頼を受けれるんですか?!」

「そりゃあ、私はSランク冒険者なんだからね?受けれて当然よ」


 アーゼさんと私はパーティーを組んだのだが、そのおかげでCランクの私もアーゼさんと同じくSランクの依頼を受けれるようになった。

 これは本当に嬉しい誤算だ。


「と言ってもまずはCからBくらいが妥当かしらね」


「確かに、アーゼさんがいるのでそれくらいが妥当ですね」


「CランクからBランクですか.....」


 嬉しい誤算があるいっても私にとって初めての任務になるのでアーゼさんの言葉は正しい。

 私も魔神などの人外の力を持っているがそれを公にするつもりなどない。

 人間の範囲で使える力だけで冒険者は頑張っていくつもりだ。

 というか人間の範囲とか言っている時点で私は既に終わっているのかもしれない....


「うーん....でもリースちゃんなら正直Aランクでも大丈夫な気がするのよね、古代魔法剣:『灼熱剣カーフシ・クシフォス』を使えるしね....」


「アーゼさん、それホントですか?!」


「ほ、ほんとよ.....ね?」


「何で私に任せるんですか....まぁ『灼熱剣カーフシ・クシフォス』なら簡単に使えますよ」


 なぜ魔法や剣技か衰退したのかはわからないが、私は私を突き通す。

 平凡以前に私が私であることを証明するためにも!!

 だからこそ私は嘘をつくのが平凡への最善の道だと思うが会えてカイナさんの質問に合えて正直に答えた。

 『火炎剣フローガ・クシフォス』が最上位になっていることからカイナさんがどうなるかある程度は『並行思考タフトクロノ・スケプシ』で考えていたが、まさか本当にその通りになるとは思わなかった。

 カイナさんは今私が中級下位改め古代魔法剣;『灼熱剣カーフシ・クシフォス』を私が使えると知ると驚愕し、その場に固まってしまった。


「はぁ.......やっぱりこうなっちゃうのね」


「アーゼさんは予想出来てたんですか?」


「リースちゃん、今度私が常識っていうものを教えてあげるわ」


「わ、わかりました?」


 硬直してしまっているかいなさんを横目にアーゼさんは私に心配そうな目を向ける。

 意味が分からない。

 確かに常識はないと思うがそこまで常識が無い訳ではないと思う、と言うか思いたい。

 そんなことを考えながら思わず首をかしげると、アーゼさんは呆れたような表情を私に向けてきた。


「その様子だと理解できてないのね?」


「ええ....」


 読心に似た何かや私の創作魔法の1つ:『思考読破アナグノシ』に似た何かを使っているのか?

 と、思うほどにアーゼさんは私の心を正確に読み取っている。


「はぁ....まずね『灼熱剣カーフシ・クシフォス』はこの国に仕える人間はいないと言われてないのよ、それに『動体視力強化ヴレポ・ブースト』や『走力強化トレホ・ブースト』、『身体能力強化ズィナミ・ブースト』、『霊魔斬プネウマ・スコトノ』なんて魔法は聞いたことがない、それだけで規格外なのよ」


「最後の『霊魔斬プネウマ・スコトノ』は魔法剣ですけど?」


「そういうことを言ってるんじゃないわよ.....」


 『霊魔斬プネウマ・スコトノ』は創作魔法である『動体視力強化ヴレポ・ブースト』や『走力強化トレホ・ブースト』とは違い、創作魔法剣と言える代物である。

 そのことをアーゼさんに少し隠して教えたがなぜか呆れたような表情をされた。

 解せぬ。


「じゃあどう言う事を言ってるんですか?」


「魔法剣や魔法関係無くリースちゃんが使っている技自体がおかしいってことなのよ」


 『灼熱剣カーフシ・クシフォス』の一件でわかっていたが魔王の時代から魔法や魔法剣は相当衰退していることが改めて分かった。

 魔王の時代だと魔法創作や全知全能を持っているのは確かに私だけだったが、『動体視力強化ヴレポ・ブースト』や『走力強化トレホ・ブースト』、『身体能力強化ズィナミ・ブースト』などに似た性能を持つ人間は星の数ほどいた。


「そうなんですね?」


「リースちゃん、魔法や魔法剣を使うときは私に見せてからにしなさい、駄目なものは駄目っていうからね」


「わ、わかりました!!」


 アーゼさんの圧に負けて思わず返事をしてしまう。

 取り合えず常識が変わったってことは理解できたし改めて依頼受けるぞ!

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