閑話 規格外な少女(side:アーゼ)

 私はアーゼ、冒険者ギルドに数人しかいないSランク冒険者で、”氷炎の魔剣士”と呼ばれている。

 そんな私だが小さい辺境の町『アルケーの町』を活動拠点として様々な依頼をこなしている。

 そして今日も依頼の事で冒険者ギルドに来ていたのだが、いつもこの時間にいるメンバー以外に1人見たことない少女が私の後ろに並んだ。

 身長およそ140cmで童顔の彼女は「すっごい行列......緊張するな....」と言いながら頑張って緊張を抑えていた。

 それを見た私はつい.....


「お嬢さん、冒険者ギルドに始めてきたのかしら?」


 振り向いてそんな言葉を彼女にかけた。

 聞けば彼女は『成人の儀式』を終えたばかりで今日初めてギルドに来たとのことだ。

 『成人の儀式』が終わってからここに来るまでの速度が異常な気がしたが、きっと何か理由があることを悟り、深く詮索はしなかった。


 それからも彼女のすることは驚きの連発だった。

 まずは文字がとてつもなく綺麗だった。

 普通字を書けない人が大半で書けたとしても汚く読めないことが多い。

 だから、彼女の字の綺麗さは本当に異常だ。


 それに、カイナちゃんの言葉の意図も一瞬の内に汲み取っていた。

 カイナちゃんは遠まわしに彼女の事をギルド職員に誘った、そして彼女は一瞬のうちにその意図を理解して、そのうえで直接断りを入れたのだ。

 ほんとになにからなにまで異常な存在だ。

 そして私は、そんな異常な存在に興味を抱いていた。

 だから.....


「ねぇカイナちゃん、この子の実技試験私が引き受けてもいいかしら?」


 普段なら絶対に言わないことを私は言った、

 だからこそ、周りの冒険者やカイナちゃんからはものすごく驚かれる。

 しかし私はそんなことを気にしないで、真っ直ぐと彼女を見据える。


「いえいえ、大丈夫ですよ!!」


 彼女は、リースちゃんは私との実技試験を嫌がるところか嬉々として受け入れている。

 その姿はさながら歴戦の猛者、魔王や勇者そんな気がした。

 しかし私はその考えをすぐに否定する、こんな小さい子が魔王や勇者のはずがない。

 そう考え、私はリースちゃんをバトルフィールドに案内した。






「リースちゃんには何かがあるみたいだけどそれは私が踏み入る事じゃないわね」


 これは私の偽りのない本音だ。

 リースちゃんは『動体視力強化ヴレポ・ブースト』や『走力強化トレホ・ブースト』、『身体能力強化ズィナミ・ブースト』、『霊魔斬プネウマ・スコトノ』などSランクの私でも全く聞いたことのない魔法をたくさん使ってきた。

 そしてそのどれもが恐ろしい力を持っている。

 『リースちゃんには絶対に何かある』

 私はそう確信したがそれと同時に私が入るようなことではないと理解できた。

 それでも....


「それじゃあ、ここからは........私の個人的な時間に付き合ってくれるかしら?」


私はリースちゃんがどれだけ強いのか気になったから、スキル『威圧』を使って、覇気を思いっきり出して、リースちゃんに話しかける。

 並の冒険者ならこの2つをくらうと気絶するのだがリースちゃんは気絶何てすることなく、逆に闘志あふれていた。


「....『神速』、四ノ太刀『神界』」


 最初から、容赦なく私は必殺コンボである神速と四ノ太刀『神界』を叩き込む。

 しかしリースちゃんは難無くそれを受け止めた。


「魔法剣:『火炎剣フローガ・クシフォス』!!」

 

 受け止められても私が攻撃の手を緩める事は無く、最上位の魔法剣である『火炎剣フローガ・クシフォス』を叩きこむ。

 が、ここで事件は起こった。


「ッ.......魔法剣:『灼熱剣カーフシ・クシフォス』!!」


 リースちゃんは遥か昔に使い手を失ったはずの古代魔法剣:『灼熱剣カーフシ・クシフォス』をさも当然のように使ってきた。

 これにはさすがの私も驚愕してしまった。

 古代魔法剣の使い手がいるだけでも驚きものなのに、それをさも当然のように使うリースちゃん。

 怖いと興味が私の心を渦巻く。

 規格外って私みたいなSランク冒険者じゃなくて、リースちゃんみたいな子を言うのね.....

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